スタートアップの仕事とは、どのような仕事なんでしょうか?
今回、スタートアップを起業した小関翼氏に「『O2Oニーズ』を満たすスタートアップの仕事とは」というテーマでインタビューを行いました。
スタートアップの仕事とはどんな仕事なのか、スタートアップを起業した動機、ビジネスモデルの考え方などについて、お話を伺っています。
スタートアップの仕事に興味がある方や、これからスタートアップを起業したいと考えている方の参考になれば嬉しいです。
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スタートアップの仕事
スタートアップの仕事とは、どんな仕事ですか?
僕の会社は「STYLER」というアプリを開発していて、ニーズをユーザーが投稿して、ショップがそれに答えることができるっていうサービスを運営しています。
ゆくゆくはアプリ上で洋服を買うことができるようにする予定です。
あとは「STYLER MAG」っていうWebマガジン。
「どういうきっかけでそのサービスを思いついて、そのサービスは今どんな現状で、今後何を目指しているか。」っていう、「会社とかサービスの、過去と現在と未来を聞く。」っていうテーマでやってます。
業種でいうと、情報通信業に当たると思います。
実務としてはどんな仕事をしていますか?
実際にやっている仕事は、スタートアップの代表なので全部ですね。
スタートアップを立ち上げたことがある人はほとんどそうなんですけど、基本全部の仕事をやることになると思います。
例えば、「どういうサービスがいいか。」って仕様を考えたり、お金を引っ張ってきたり、セールスをしたり。もちろん経理もやりますよ。
ただし、どんどん仕事の分業化は進めていますけどね。
例えば、仕様の策定とか実際にコードを書くのは、エンジニアリングとかデザイナーのチームに任せていますし、メディアへの露出はメディアの担当に任せています。僕は、全部の機能を全体的に見るようにしています。
小関さんはコーディングはするんですか?
打たない、打たない。
HTMLとCSSぐらいだったら打てるけど、それ以上になると全然打てない。
HTMLとかCSSの勉強は多少したし、もちろん他のコードも勉強はしてるけど、打ちはしないですね。
コーディングは分業しているから。「全部自分でやる。」っていうのは、生産性が低いので。
今はスタッフは何人ぐらいいらっしゃるんですか?
今は常勤が6名ですね。
あとは、非常勤が2〜3人います。
スタートアップを起業して「試練だな。」って思ったことはありますか?
まだスタートアップを起業して1年ぐらいですから、そこまで「試練だな。」って思ったことはないよ。
仕事をしている時が楽しい。やりたいことをやってるからね。
やりがいを感じるのは、ユーザーのレビューを見るのが一番やりがいを感じるかな。
今、アプリ上で成約があると、どうなるんですか?
今はマネタイズしてないから、直接お店に買いに行く。
これで最終的に決済までいけたら、だいぶ便利でしょ?
あとは試着ができるといいんですけどね。
試着は店舗になっちゃうよね。
発送代がかかるから、試着は難しいと思う。
あと、たぶん3Dで再現しても、お客さんは納得しないよね。
実際に着てみたいと思う。
5mm違うだけで、服って違うから。
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スタートアップを起業した動機
なぜスタートアップを起業しようと思ったんですか?
もともと「Amazon」で働いていたんです。
「Amazon」はコマースとして非常に優れたサービスなんですよ。
サービスとしても優れているし、かつ社員だと10%の社員割引もきくので、なんでもかんでも「Amazon」で買うようになるんですよね。
でも、基本的には洋服はほとんどオフラインで買う人が多いんですよ。
服だけじゃないですけどね。
EC依存度が高くて、金銭的なインセンティブがついている人でも、オフラインが中心のマーケットが存在していて。
それがアパレル業界だったんです。
「O2Oニーズが高い。」ということなんですけど、その「O2Oニーズ」を救うためにやっています。
「O2Oニーズ」とは何ですか?
「インターネット上で情報を知って、オフラインで買う。」ということです。
そのニーズが高く、ほぼ主流になりつつあるので。
「Amazon」で働く前から、アパレル業界の「O2Oニーズ」には気づいていて、実際にみんなそうだったんですよね。
マーケットを調べてみても、ほとんどみんなオフラインで服を買ってるじゃないですか。
もともと洋服関係に所縁があったんですか?
洋服が好きだったという事と、全産業を見ていった中で、特に「O2O」の傾向が強かったからです。
他のビジネスモデルもいろいろ考えていました。
他のライフスタイル分野も基本的にはオフラインでのコマースが主流なんですね。不動産とか旅行とか、転職とか。
旅行はオンライン化しつつありますけど、旅行情報はオンライン化しづらいんですよ。
なので、そういう別の業界の企画はしていますね。
その中でファッション業界のサービスに決めた決め手は何ですか?
「ファッションが好きだった。」っていうのもあるんですけど、それだけではビジネスにならないので、「マーケットサイズが大きかった。」っていうところですね。
マーケットサイズが大きくて、業界自体が閉ざされていて、そんなにオンライン化が進んでいなかったというところも大きいですね。
「お客さんから発信して、お店がピックアップする。」というビジネスモデルになった思考のプロセスとは、どういう感じでしょうか?
まず、海外だとごくごく普通にコマースコミュニケーションが融合しているんですよね。
お客さんがECサイトやリアル店舗に行く前に、コミュニケーションをとってから足を運ぶのが、ごく普通になりつつあるんです。
それを考えると、コミュニケーションを改善させて、店舗に行ってもらうという方が自然かなと思ったのが、まず1点。
もう1つは、よくある話なんですけど、ユーザーや服のニーズって、店頭で具体化しているんですよね。
なんとなく「ネイビーのジャケットが欲しいな。」と思って買い物に行ったら、店頭で全く違う商品を買ったりするんですよ。
店頭でディスプレイを見たり、接客を受けて違う商品を買うんです。
これって「ニーズが変化する」っていう話なんですけど、それって他の商品ではなかなかなりにくいんですよね。
例えば、「イタリアに行こうかな。」と思って店舗に行って、接客を受けたらスペインに行く事ってないと思うんです。
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スタートアップのビジネスモデル
サービスを今の形にした理由は何でしょうか?
そうなって然るべきだなと思っていて。
要は、お客さんのニーズとか現場の提案力が、実はけっこう軽視されている業界なのかなと思って。
販売員の年収も低いし。
本部からすると、あまり重要視されていない部分があるんですよ。
でも、実は売り上げの大半は「彼ら販売員がニーズを顕在化しているから」っていうのが大きかったりするので、そこを差別化したものを作った方がいいんじゃないかなと思ったんだよね。
それは常々考えてたんですか?それとも、何かきっかけがあったんですか?
これといったきっかけは特にはないけど、3〜4年前に「スタイリストとWeb上でマッチングができる。」っていうサービスがアメリカかどこかで始まって、それがうまくいかなかったんだよね。
なぜかというと、優秀なスタイリストはめちゃくちゃ忙しいから。
なので、スタイリストの数を増やそうとすると、経験の少ないスタイリストも雇用することになるので、いいユーザー体験を提供できない。
あとは、スタイリストがおすすめをして、服が売れたとしても直接スタイリストにお金が入るわけではないので、サービス運営会社が何かでお金を回収してスタイリストに分け与えなければいけないという、すごい労働集約系モデルになっちゃう。
だからうまくいってないんだけど、そこの問題点を解決しようという課題はけっこう同じなのかなと。
コミュニケーションが入っていて、かつ情報格差を埋めるという。
ただし、うまくいっていないモデルを解決しようと考えると、どことつなぐのがいいのかが課題になるんだよね。
自分の体験からきたビジネスモデルではないんですね?
全然ない。そもそも、「自分のきっかけの延長線上で事業をやる」っていうのは、僕はよくないのかなと思っているから。
自分の体験からきたビジネスモデルだと、自分の想像力の延長線上でしか構想できないと思うし、あまりマーケットと関係なく作ってしまって、趣味の延長みたいな事業になってしまう気がする。
別にそれが悪いわけではないけどね。
「STYLER」のターゲットはどこですか?
「STYLER」のターゲットは26歳〜35歳の男性。
女性もやるけど、女性の方がトレンドの波が強すぎて、スタートアップがやるにはちょっと難しいかなと。
ブランドが積み上げ式にできないから。
男性の方がスタートアップとして、いろいろ試行錯誤しやすいからね。
なんで女性はアイテムが豊富なのに、男性は少ないんですかね?
男性が異性を選ぶ立場にあったからじゃない?
そうすると、女性は男性の気をひかなきゃいけないじゃない。
そういう社会的な話なのかなと。
逆に、男女のパワーバランスが変わってくると、そこも変わってくるかなと思ってる。
すでに男女のパワーバランスは変わっている気がします。(笑)
そう思うけど、女性の社会進出ってまだまだなってないからね。
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