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フリーでやるカメラマンの仕事とやりがいとは

カメラマンの仕事とは

カメラマンの仕事とは、どのような仕事なのでしょうか?

フリーカメラマンの首藤慎一郎氏に「カメラマンの仕事とは?」というテーマでインタビューを行いました。

カメラマンとはどのような仕事なのか、カメラマンに必要なスキルやカメラマンとしての方向性を伺っています。

カメラマンを目指している方や、カメラマンに興味がある方に、少しでもカメラマンという職業についてお伝えできれば幸いです。




カメラマンの仕事とは

カメラマンになってみてどうですか

今、何を撮っていますか?

なんでもだね。俺は自分の中で、一個のものでスペシャリストになろうという気は最初からなく、医者で言えばER(救命救急)みたいな感じの撮影スタンスでいきたい。

「カメラマン」って聞くとさ、一般の人は何でも撮れるって思わない?

でも、一言で「カメラマン」って言ってもけっこう分野が分かれててさ、ブツ取りとか料理とかスナップとか、ジャンルが分かれてるんだよね。

ブツ取りの宝石とかを撮ってる人に「ファッションモデルの撮影して。」とか「結婚式の撮影やって。」って言ったら、たぶん無理な訳よ。

しゃべらなきゃいけないじゃん。

カメラの使い方とか写真の知識はあるけど、瞬間でシーンを撮るものと物を綺麗に撮るのは全然ジャンルが違うから。

その中で俺は、一個のスペシャリストにならなくてもいいけど、一般の人達から見たら「あ、プロの写真だな。」って思われるぐらい、全部のジャンルができるようになりたい。

そっちの方が細い仕事をやるのは、今の時代には向くかなと思って。

今は頼まれたらだいたい撮れるかな、そんなに悩まないで。ブツ取りでも人物でも。

どうですか、フリーのカメラマンになってみて?

最近はライフスタイル的に自分にすごく合ってると思う。

子供ができて、時間が自由に使えるから。

時間が決められてるサラリーマンと違うから、自分でスケジュールを決められるからね。

撮影をうまく入れれば、子供の面倒とか迎えとかも行きやすいし、家事もできるしね。

子供を育てるってなった時に「すごくフリーの方がやりやすいな。」って思うよ。

「月収50万円あげるから社員にならない?」って言われてもやらないな。

あと、意外に最近仕事を頂けてるんで。前よりはちょっと自信がついたかな。

自信ない時とかあったんですか?

やっぱり不安だったよね。フリーのカメラマンっていう職業は。

でも、最近は撮ってて「俺の方がうまくね?」とか「俺ならこう撮るな。」とか、そういう風に思えてきたなぁ。

今までは撮るのに精一杯で、そういう思考すらなかった。一個の仕事をこなすのに精一杯だったな。

そういう引いた目で見るっていうのが、やっとできるようになってきた。一個一個の仕事に集中するっていう事は、いい事なんだけどね。

カメラマンに必要なスキルとは?

俺、人が好きなんだけど、「人が好き」っていうことで仕事をもらえてる気がする。

お客さんから人間的に買われて、仕事を頂いてるなぁって思う。写真がうまくてもさ、現場が重いと一緒に仕事したくないじゃん。

現場の雰囲気作りも一つのスキルだよね。カメラマンって、けっこうリーダーシップを発揮しなきゃいけないポジションなんだよね。

撮影って、基本的に何時間ぐらいやるものですか?

それは撮影内容によるよ。取材とかだったら1〜2時間で終わることもあるし、1日がかりの撮影もある。さすがに26時間の撮影は異常だけど。(笑)

社長の取材とか行ったら、時間が完全に決まってるからね。1分でも延びたら終わり。俺らカメラマンにとってはおいしい仕事だよね。

カメラマンとしてのやりがいはどこですか?

撮影をして、お礼のメールとかもらったら、けっこう嬉しいよね。

「思った以上によかったんで、ありがとうございました。」って言われるのは嬉しいね。

やっぱり撮影した写真がちゃんと上がってたりするとやりがいを感じる。

カメラマンって形になる仕事だから、けっこうやりがいはあるよね。

カメラマンのやりがいとは

カメラマンとして嬉しかったことは何ですか?

納品して、忘れた頃に振り込みがあった時。

すごい金額が入った時とかに「お!ちゃんとお金が入った!」って思うと、若干嬉しいね。

現実的で嫌だけど、ちゃんと仕事として成立した証拠だからね。

仕事をまとめてやったりして、ごっそり入ると「おぉ!」って。嫁がたまにびっくりするもん。(笑)

カメラマンをやっていて辛かったことは?

カメラマンとして辛かったことかぁ… そんなに辛いって感じてないんだろうね、あんまり。

すごい体が疲れてても、仕事してる方がいい。

あ、カメラマンとして辛かったことあるわ。仕事がない時。

初めの方とかほとんど仕事がないからさ。一週間何もないとかあったよ。不安だったな。

何かしないといけないから、何かするのよ。だから、家に引きこもってパンとか作ってた。名付けて「引きこもりパン」。(笑)

あとは、パスタとか手打ち麺とかも作ってたよ。

なんかそういう難易度の高いこだわったものを作ってないと精神が保てない。モチベーションを上げるためにやってるの。

営業をしようとは思わなかったんですか?

若かったから、営業の仕方がよくわからなかった。

まだ作品とか実績があまりないから、売り込み方がわからなくて。

今は仕事として成立したものがあるから「こういうのやりますよ。」って言えるけど、当時は全然なかったから、大変だった。

「どんなの撮ってるの?」って言われても、切り抜きカットしかないとか。「これしかないの?」って言われたりとか。

あとは自分のプライベートで撮った写真持っていっても、「これ仕事じゃないよね。」って感じになっちゃうから。




そこからどうやって実績を作っていったんですか?

ちょくちょくもらう仕事の写真をファイリングしてた。ポートフォリト。

営業をしに行く時に、その営業先のコンセプトに合わせて写真を入れ替えてたね。

例えば、不動産の仕事に料理の写真を入れてもしょうがないでしょ。

「こういうのもやってます。」ってちょっとは入れるけど、部屋の写真とかを中心に入れる。

でも、カメラマンになって一番辛いのは、やっぱり仕事がない時だよ。フリーの人はみんな言う。

仕事があれば、やっぱり頑張れる。どんなに忙しくても頑張るよ。それが生きがいになるからね。

その疲れって、いい疲れなんだよ。

どのように実績を作りましたか

他の人も全然売れなかった時、めっちゃ走ってたって言ってました。

ストイックになんかしないと、精神的に良くないんだよね。

どんどん滅入っちゃうから、何かに没頭すると、ちょっとモチベーションが上がるんだよね。だから、朝早く起きる。だらだら寝ないで「何かを作る。」って決めたら、その準備したりして。

そういう精神でやってると、急に仕事が入った時にギアのかかりが早いかな。

何もしない時に急に仕事が入ると、どうしていいかわからなくなっちゃうんだけど、ちょっと動いてると、ギアが入りやすくなる。

今はすぐにギアを入れられるから、あんまり動揺しない。経験を積んできたから、最低限のプレゼンができるよね。

お客さんが求めてる写真があったとしても、「俺はこっちのほうがいいな。」と思う場合があるでしょ?

そういう時のプレゼンの仕方が、経験を積むと身についてくるよね。

まず絶対に「お客さんが撮って欲しい。」って言った写真は撮る。

それと同時に俺がいいと思う写真を撮って「この写真はいいんですけど、僕はここが気になるんですよね。こっちはどうですか?僕はこれの方がいいと思うんですけど。」っていうと、「あぁ!こっちの方がいい!やっぱカメラマンさんは見る目が違うなぁ。」って言われることもある。

そうそう、これ俺が撮った写真。(と言って、撮影した不動産会社のWebサイトを見せてくれました。)

え?これ写真なんですか?CGみたい。

写真だよ、背景はCGだけど。うまいんだって、俺。(笑)

ここ真っ直ぐでしょ?垂線を真っ直ぐ出す。

こういうのは上から撮ってるから。

一企業さんの売り出しの静物画像だから、けっこうちゃんとした仕事でしょ。一日15万円だからね。

一企業と仕事をしたら、それぐらいの金額にはなるよ。だけど、企業によってはもっともらえたりもする。

今回は条件的に納得する金額だったから受けたんだよね。アシスタント代とか経費は別だからね。けっこう立派な仕事でしょ?

ちゃんとこれが仕事で履行できてるからね。でも、俺も1日で15万円稼げるカメラマンになったんだよね。感慨深いなぁ。

だって俺、初めの方は「1日1万円でもいいや。」と思ってたからね。今はやらないかな。

写真がフィルムからデジカメに変わってどうですか?

今は仕事でフィルムなんてないからね。デジタルがこんなに進歩すると思わなかった。

でも、デジタルが進歩したことで俺たちが仕事ができるっていうのはあるかもしれない。

昔の写真がうまい人達がいるけど、その人たちはパソコンが苦手なんすよ。

俺らの世代はパソコンでの処理が得意だからさ。

そこも変わってきてて、写真よりも処理ができる方がいいっていうニーズにもなってきてるんだよね。

「後処理でここ消してください。」っていう要望に対応ができる方が、仕事が取れたりする。

本当はおかしいんだけどね。でも、俺も合成とか後処理もよくやる。

首藤さんは「安定」とか気にしないんですか?

気にしたことないって言ったら嘘になるよ。やっぱり家族持ってるからさ。

「フリー」っていう立場が不安じゃん。だから、あの倉庫で通販の商品撮影の仕事してるんだよ。

週1ぐらいでもやってるだけで、確実に固定のお金が入るわけじゃん。

フリーのカメラマンで確実に固定のお金が入るっていうのはいいことなんだよね。

その合間で自分の仕事をやっていくっていうスケジューリングが、今のスタンスだから。

倉庫での商品撮影の仕事は、ギャラは高くないんだ。

だけど、スタジオを使わせてもらってるんだよね。個人的にスタジオを借りたら高いから、倉庫に仕事を持ってきて撮影してもいいって言われてるから、ラッキーなんだよね。

独立して「これで食っていける。」っていう自信が持てたのはいつ頃ですか?

2〜3年前じゃない?独立してからは10年ぐらい経ってるけど。本当に最近だよね。

仕事を納品してクレームとかもないし、ちゃんとアップもされてるし。

俺フリーだけどさ、お客さんって会社員なんだよね。

相手は企業さんだから、みんなちゃんとネクタイ締めて仕事してる。その人達と対等に仕事をして、それが履行されてるわけじゃん。

仕事としてちゃんと成立してるから、世間的にもカメラマンとして認知されてるんだなって。

それで「あぁ、カメラマンなんだな。」って、最近やっと思ってきたかな。

カメラマンとして自信がついたのはいつですか

それまではずっと不安だったんですか?

今だって不安はあるよ。「体壊したらどうしよう?」とかあるわけじゃん。でも、それはフリーの人にはつきものだからさ。

それはしょうがないけど、今は撮影に対しての自信がちょっとあるから。頼まれたものに対して、「撮れる。」っていう自信がある。

「お客さんに納得してもらえるくらいの撮影ができる。」っていう覚悟はある。

今、俺が普通にやってる仕事内容だったら、お客さんに納得してもらえる。実際、納得してもらってるからね。

結婚したのはいつでしたっけ?

5年前。ずっと不安だったよ。まぁでも、彼女に奥さんになって欲しかったからね。

2人で生活するなら、生活はできるからさ。

アシスタントやってる時なんて、「結婚なんてできんのかな?」って思ってたよ。だって、先がないじゃん。

「このままでカメラマンになれんのかな?」とか、超思ってた。このままアシスタントやってて、カメラマンになれるっていう保証もないし。

奥さんや子供ができて、仕事への気持ちの変化はありましたか?

そりゃあるよ。やりたくない仕事もやるようになったよ。お金になるからね。そこは本当に違うと思う。

子供ができて、家族ができたら、俺でもやるよね。こんなわがままだけど、俺でもやるよ。

人間守るべきものができると自己を抑制もできるし、やらなきゃっていうモチベーションにもなるから、俺は家族を持って良かったと思ってるよ。

俺にとって家族は仕事に対しての相当なプラス効果。

俺1人だったら、「ご飯いいや、外で食べればいいし。」とか、夕方までテレビ観たりしてた事もあったよ。それが少しなくなったかな。

カメラマンを辞めようと思ったことはありますか?

ないかな。そう言われるとないな。

もし辞めたら、あの辛かった26時間とかが無駄になっちゃうのかなとか思っちゃう。辞めようっていう考えが今までなかったね。

とりあえず今の手持ちの武器がそれしかないんだもん。手持ちの武器で頑張るしかないじゃん。

例えば、今の時点でカメラマンを辞めなきゃいけなくなったら、どうします?

何かやらないとだよね。家族を養わないといけないから、居酒屋の店長でもやってるんじゃない?(笑)

お金を稼ぐってことに対して、できない性格じゃないから、要領いいし、なんかできるでしょ。

その時の手持ちの武器で「お金良さそうだから、これやるか。」って感じで、肉体労働とかどんなことでもできるから。

一般的に人がやりたがらない仕事でも「お金が出る。」って自分が思ったら、できるからね。それも、意外に楽しくやる。




カメラマンとしての今後の方向性

カメラマンをできない状況になったら

首藤さんはカメラマンとして、今後どうしていく予定ですか?

最終的には居酒屋だよね。(笑)

とりあえず今、手持ちの武器が「カメラマン」っていう武器じゃないですか。

「カメラマン」っていうスキルを持ってるから、まだ俺のニーズがあるなら使っとかないともったいないかなって。

その武器が刃こぼれしてきたら、ちょっと限界かなって思ってる。

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