花屋の仕事とは、どんな仕事なのでしょうか?
今回、花屋として独立した大竹ミキ氏に「花屋の仕事と暮らしを見つめ直す場所『クラシノMarket』」というテーマでインタビューを行いました。
町屋駅にある週末だけの花屋「花やMOMO」、フラワーアレンジメントのレッスンの仕事、「クラシノMarket」というイベントの事などを伺っています。
花屋の仕事に興味がある方や、これから花屋として起業・独立を考えている方の参考になれば嬉しいです。
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目次
花屋の仕事
どんなお仕事をされているんですか?
花屋の仕事をしています。
金土日の週末に、千代田線の町屋駅にある「花やMOMO」という花屋と、平日は注文分のアレンジだったり、花束の制作をしたり、いろんなところのフラワーアレンジのレッスンをしに行ってます。
ちなみに、「花やMOMO」の「MOMO」はミヒャエル・エンデの「MOMO」から取ってるんですよ。
普通、お花屋さんは店舗を構えてやると思うんですけど、仕事はどこから来るんですか?
私は花屋として店舗を構える前に、自分の家を作業場にして仕事をしていたんです。
それがあったので、例えば子供が幼稚園だった時の友達のお母さんとか、口コミで広がったんです。
店を持つ前は、年に2回「ガレージマーケット」と言って、お友達の雑貨屋さんのガレージを借りて、そこで「寄せ植えの会」みたいなのをしていました。
そこに来てくれていた人達は「植物を育てたことがない。」とか「私はうまく育てられない。」とか、「『寄せ植え』はしたいけど自分は作れない。」とか、そういう人たちが多かったんですよね。
そこで、私が「みんなの好みの形に『寄せ植え』をします。」っていうのをしてみたんです。
土を揃える、鉢を揃える、苗を揃える。
春は夏野菜とかハーブが育つ時期なので、「自分で育てて食べましょう。」みたいなタイトルにして、秋の会は「冬から春まで楽しめる球根と花苗」みたいな感じで、「花のある暮らしを身近に楽しめたらいいなぁ。」っていう会を企画していました。
「そんなに来ないかな?」と思っていたら、これがけっこう来てくれたんです。
自分で持っている古い苗を持って来てもいいし、持って来た苗と私が持ってきた苗を混ぜてもいいし。
それで、自分で植えたい人は私が教えるし、「植えられない。」っていう人は一緒に選んで、どれにしようかって合わせて、寄せ植えして、お渡しするっていう感じでやっていました。
フラワーアレンジのレッスン
フラワーアレンジメントのレッスンはどんな感じでやっていますか?
私は花のことを「まるっきり現場で勉強した。」っていうタイプなので、教室での知識も大切だけど、知識よりも目で見て感じたり、「この花とこの花を、こういう風に合わせると綺麗だな。」っていう、感覚を優先させて花を見てもらいたいし、触ってもらいたい。
だから、レッスンもそういう教え方をしています。
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クラシノMarket
お花屋さんと教室、他にも何か仕事をしていますか?
他にしていることは、直接花が関わっている事じゃないんですけど、私は花も暮らしの一環だと思っているので、暮らしにまつわるイベントを最近始めました。
例えば、自家採種の野菜っていうのがあるんですよ。
それは、農家さんが昔からあるお野菜の種を蒔いて、採って、蒔いて、採ってって繰り返しているんです。
今売られている野菜って、化学肥料が使われていたり、人間が無駄に自然のバランスに手を加えて作った野菜だったりするんです。
今まであった野菜がどんどんなくなり、どんどん新しい野菜が出てきていい感じがするけど、本来人間が食べてきた野菜ではなく、私たちの都合に合わせて作られた野菜が出てきているんです。
でも、できればみんなが安心して食べられるような野菜を買いたいですよね。
ただ、そういう食べたい野菜って、近所に売ってないじゃないですか。
電車に乗って、わざわざどこかまでいかないと、なかなか手に入れにくかったりしますよね。
なので、そういう野菜をできれば週に一度、町屋で売っていきたいなと。
ということで始まったのが、月に一回、無農薬無肥料でできれば自家採種、無理だったらF1の市販の種になっちゃうんですけど、きちっとした育て方をしているところのお野菜を、みんなに買ってもらえる場所を作る。
あとは、天然酵母のパンだったり。
そこが「クラシノMarket」っていう名前で、5月からやっています。
花屋とは違う「MOMOの小屋」というフリースペースで、「暮らしを見つめ直すような場になるといいな。」と思って。
ちょうどそこの大家さんと好意で、私でも借りられるような金額で「いいことに使ってもらえるんだったらいいよ。」っていうことで、貸してもらっています。
食だったり、手仕事だったり、アートだったり。そういうのを暮らしに取り入れると、みんなももっと豊かな暮らしになるはず。
「ものを作る人たちの想い」とか「作品」って、ちょっと敷居が高い印象があるじゃないですか。
そうじゃなくて、普通の私たちもぐいっと近づいて、もっと知ってみるともっと楽しめるし、もっと作家さんとも近い存在になってみたらどうなのかなって。
そういう気持ちで、私は「MOMOの小屋」で「クラシノMarket」を始めたんです。
花屋の店舗を構えた理由
なぜお花屋さんとして店舗を構えようと思ったんですか?
「花屋」と「教えること」っていうのは、私の中で一つの花の仕事。
私は花の仕事を高校卒業してからしているけれども、「花屋を持ちたい。」とは思わなかったんです。
花屋をいくつか経験してから独立をしたけども、「花屋を持ちたい。」と思わなかったのは、「花屋」っていうのは一週間ずっと開いているわけだから、お店に用意した花の中から注文に応じて作るわけですよね。
でも、「この注文だったら、似合う花が市場にあったな。」とかって思うわけですよ。そうすると、この花が使いたいじゃないですか。より似合う花を作れるわけだし。
なので、「お店である必要はないな。」と思って、「注文をもらってから花の仕入れをする」っていうスタイルでずっとやってきたんです。
だから、花を渡す何日か前に注文をもらって、それに似合った花を仕入れて。
そうすると、花の鮮度もいいから長持ちもするし、なるべくロスも少なくて済むんです。
だけど、みんなはそんなにいろんな花を見て、いろんな花を知っているわけじゃないですよね。
みんなの頭の中のイメージで「かわいい花束をお願いします。」ってなると、「ピンクで…」みたいな感じになるわけで。
でも、一言で「かわいい」って言ったって、儚いほやほやほやっとしたかわいいもあるし、きゃりーぱみゅぱみゅみたいなぴゃっとしたかわいいもあるし、「かわいい」の中でもいろいろな幅があるんですよ。
逆に「大人っぽい」っていう中でも、いろいろな幅があったりする。
素敵な花をいっぱい市場で見たりすると、「この花をいろんな人にも見てもらいたいな。」っていう気持ちになるんですよね。
最初は駐車場を花の資材置場兼作業場にして仕事をしていたんですけど、ちょうど手狭になっていたのと、大家さんに「もう出て行ってくれ。」って急に言われたんですよ。
それで、「どうしよう、どうしよう?」って思っていた時に、私の知り合いが洋書の古本屋をしていたんです。
洋書の古本屋はおしゃれですね。
なかなかないですよね。その彼女が「私の店は店舗を持つものじゃないな、ネットでやる。もう店は辞める。」って言い出したんです。
「それだったら、花の資材を置くから、私が場所を借りる。」って言って、貸してもらったんです。
最初は「花の資材を置くだけにしよう。」と思ってたんですけど、「もしかしたら、花屋もできるのかな?」と思って、「それだったら、みんなに見てもらったほうがいいかな?」と思って、花屋を始めたんです。
なので、そこに行き着くまで、お店を持つ用の仕事の仕方じゃないんですよ。
外に向いた仕事の仕方をしていました。外に打ち合わせに行ったり、レッスンしに行ったり、植えに行ったり。
花屋を一週間開けていたら、一週間お店にいなくちゃいけないし、私が外に出て行くってことは、アルバイトさんとかにお金を払って、誰かを雇うって事ですよね。
私の花に共感してくれる人は少数派だと思うので、「そういう花が好きな人たちが、集中して週末に集まってもらえたらいいかな。」と思って、それで毎日開かない週末だけの花屋にしようと思ったんです。
週末は家族が揃うじゃないですか。お仕事をしているお父さんもお母さんも。
家族が揃うゆったりする週末に、花が一緒に添えられたら、もっといいお家の中になるんじゃないかなと思って、週末だけの花屋にしました。
私も家族があるんですけど、「いつも母親が仕事で不在の週末はどうなのかな?」って。(笑)
最初はすごく気にしてたんですけど、あんまり不思議と気になってないみたい。
最初は金土だけの花屋だったんですよ。
それが日曜までになったんですね?
せっかくやるんだったら、そのまま日曜まで続けた方がいいんじゃないかって。日曜日もお客さんは来ますし。
やっぱり花っていうと、「自分の家に飾りたい。」っていうのももちろんあるけど、大半はプレゼントだったりギフトが多い。
そうすると日曜日に発表会があったり、誰々さんと会うとか、何かのイベントがあるとか、そういうのが多いんですよ。
そこはあんまり考えてなかったんですけど、後からするとやっぱり週末で正解だったなって思います。
平日はピアノの発表会とか結婚式とか、すごい少ないですよね。
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花屋の睡眠時間
いつも何時に起きているんですか?
遠い市場に行く時は、3時くらいに起きたりもするんです。
特に市場がないとか近くの市場の時は、5時半とかに起きますね。
でも、夜は早いですよ。眠くなっちゃう。
いつも、きちんと決まった時間に寝てますね。
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