青山フラワーマーケットでお花を購入されたことはありますか?
今回、花屋として独立した大竹ミキ氏に「青山フラワーマーケットでの花職人の仕事と独立するきっかけ」というテーマでインタビューを行いました。
青山フラワーマーケットで「花職人」として仕事をしたこと、独立するきっかけになった「ムック」の撮影仕事、青山フラワーマーケット1号店のお話などを伺っています。
青山フラワーマーケットが好きな方や、花の仕事に興味がある方、これから花屋として独立を考えている方の参考になれば嬉しいです。
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青山フラワーマーケットへの就職

それで、青山フラワーマーケットに入ったんですね?
日本料理屋に勤めている時に、またちょっと花の業界が恋しくなったんだよね。
そうしたら、ちょうど「青山フラワーマーケット」が求人していたの。
今で言えば、「青山フラワーマーケット」っていろんな駅の中とかデパート、ショッピングモールに入ってるけど、あの時はまだ1つも店舗がなかったんだよね。昔だからね。
だから、社長も「これから立ち上げていこう。」っていうところだったの。
その頃、青山フラワーマーケットは社長が仕事を取ってきて、私達は「花職人」っていう立場だったんだけど、その花職人に社長が「この仕事はこの人が似合うな。」って思った人に、仕事を振られる。
それで、「上代の何%が手取り」っていう歩合制だったの。
「そういう仕事の仕方もありなのかなぁ。」と思って、青山フラワーマーケットに面接に行って、受かったんですね。
それで、青山フラワーマーケットで花職人として働くようになったの。
青山フラワーマーケットでは、どんな仕事をしていたんですか?
青山フラワーマーケットで働くようになったと言っても、毎日仕事があるわけではなくて、社長が仕事を取ってきたら、その仕事をやるっていう感じ。
市場に花を仕入れにも行かなくちゃいけないの。
私は前は大きな花の会社にいたけども、会社の中の歯車の一部だったから、全部ができるわけじゃないんです。車の運転もできないし、花の仕入れもしたことはない。
会社の仕入れ部の人と一緒に市場に行って、「あの花を買ってください。」っていうのは言ったことがあるけど、自分で花を仕入れたことはない。
そういうのは全部、青山フラワーマーケットで勉強させてもらった。
「自分で花をお届けもしなくちゃいけないし、花の仕入れもしなくちゃいけないんだな。」っていうことが分かって、車の免許も取りに行くことになったんだよね。
青山フラワーマーケットの求人を見つけたきっかけ

青山フラワーマーケットの情報は、誰かが教えてくれたんですか?
誰かに教えてもらったわけではない。
「フローリスト」っていう雑誌だったかな? 花屋が見る、花の雑誌があるんです。
そこに求人情報欄がちょびっとあって、そこに青山フラワーマーケットが載ってたと思います。
青山フラワーマーケットと、もう1つ花屋が載ってたの。そこにも面接に行ったんだよね。
後から分かることなんだけど、独立して渋谷で花の仕事をしてた時に、その借りていた作業場のマンションのすぐそばの花屋だったの。そこの花屋に私は面接しに行ってるの。
履歴書に「日比谷花壇で何年働いていました。」っていうのを書くと、「日比谷花壇」っていうのが外の花屋さんには印象が良くないんだよね。
「どうせ日比谷さんでしょ?」みたいな感じ。
大きな会社の歯車の一つしかできないし、そういう人達を使っても、あまり思うように使えなかったのかもしれませんね。その時、そこの会社は断られたの。
それで、青山フラワーマーケットを受けに行ったら、社長は取ってくれた。
青山フラワーマーケットの社長は、人を見てくれたんですね。
そのあと何年か経って、その最初に断れらた会社の人と、市場でも会ったりするわけですよ。
事務所の場所も近いから、何かあったら「この花ないですか?」とか相談もする。
「あの時、おまえ取っておけばよかったなぁ。」って言われた。「そうでしょ〜。」って言って。(笑)
でも、「大きな会社にいると、あんまり印象が良くないんだな。」って。だから、「あんまり言いたくないな。」って思ってた。
花関係じゃない人は、「日比谷花壇なんでしょ?」とか、すごく言ってましたけどね。
それで青山フラワーマーケットに入ったら、青山フラワーマーケットの社長は花の経験はない人なわけです。
だけど、会社を経営していくことには長けている方で、青山フラワーマーケットでもいろんな仕事を社長から頂けたの。
それである時、社長の知り合いの人で「花の雑誌を作る。」っていう人がいて、その仕事が入ってきたんだよね。雑誌というか、正確には「ムック」。マガジンとブックの中間のね。
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独立のきっかけになった「ムック」の仕事

え?雑誌にお花が付いてくるんですか?
違う、違う。花を紹介した一冊。
そうよね、今だとおまけがいっぱい付いてくるもんね。
今だと「おまけがついている本=ムック」みたいになってるけど、1つのものにこだわって作られた雑誌を「ムック」っていうんですね、本当は。
「ブック」とか「マガジン」だと「いつまで置いておける」っていう期間が、それぞれあるみたいなの。だから、それの中間なんだと思うんですよ、「ムック」って。
「マガジン」だと1週間とか1ヶ月くらいでしょ?本はずっと長いこと置いてありますよね?
「ムック」は「マガジンよりも長く置いておける」っていう括りがあったような気がする。
それはどんな仕事だったんですか?
「『花をどうやって楽しむか。』みたいな本を作りたい。」っていう編集の方がいて、「その1冊の本の半分は違う花屋さん、半分は青山フラワーマーケットでお願いします。」っていう事になって、青山フラワーマーケットの誰を使うかっていうことで、面接をしたんですよ。
そこで、私ともう1人「あおいさん」っていう人が選ばれて、彼女と2人で撮影仕事をいろいろさせてもらったの。
撮影仕事の経験は日比谷花壇の時にもあったから、そんなに困ることもなく、うまく順調に進めたかなと思う。
でも、その「あおいさんと一緒に仕事を1つ成し遂げた」っていうことが、私にはすごく意味があることで、その人とゆくゆく独立して、一緒に渋谷で事務所を借りてやることになったの。
あ、そこで独立したんですか?
私とあおいさんは、全然タイプが違う人なんですよ。
私はガサガサしたちょっと男だか女だか分からない下町系なんですけど、彼女はバリバリ品のいい山手系なんです。
「なんで2人は知り合いになったの?」ってすごい聞かれてた。(笑)
青山フラワーマーケットの1号店

その頃、青山フラワーマーケットは何人ぐらいいらっしゃったんですか?
社長、専務でしょ。私たち、花職人の同期が3人入ったの。その前に2人いたの。だから、合計7人かな。
その後にも、ぽろっぽろっと花職人的な人が入ったりしたんだよね。
社長も最初は試行錯誤しながらだったと思う。
私がいる時に、青山フラワーマーケットの1号店がオープンして。
一番最初の建物はプレハブみたいな感じだったかな。だけど、広かったし、生の花を置いてたのよ。
生の花のほかにも、造花とかドライフラワーとかプリザーブドフラワーとか、いろいろ分野があるじゃない?
でも、青山フラワーマーケットの1号店はそういう感じじゃなくて、生の花と絵画、焼き物、陶芸、そういうものがお店で一緒に展示されて、買えるようなところだったの。
今の青山フラワーマーケットとは、結構違うんだよね。
今思うと「夢のようなお店だったな。」と思います。
社長はディスプレイのために、すごく大きいバスケットを作ってもらってましたよ。大きい車に1個乗るか乗らないかっていう感じ?
そのバスケットに「好きに生けていいよ。」って言って、生けさせてもらったりしたんですよ。
青山フラワーマーケットの動きはみんなも興味あるものだったから、日比谷花壇の人達も様子を見に来ましたよね。
「青山フラワーマーケットはどんな感じだ?」って言って。
じゃあ、その頃には「青山フラワーマーケット」の名前は、花業界では広まってたっていうことですよね。
青山フラワーマーケットの名前が花業界で広まったのは、もう少し後になってから。
「価格破壊」とか言われるような時代になってからかな。
社長は「花業界の価格破壊」だったと思う。テレビとか新聞にも取り上げられる人だった。
青山フラワーマーケットの価格っていうのは、既存の花屋さんより安いんですか?
あの時は安かった。でも、今はどうか分からないけどね。
昔を知っている人は「青山フラワーマーケットは安い。」っていう風に思ってるけど、今はどうなんだろうね?
でも、あのおしゃれ感とか企画力は、すごく素敵だよね。
お店の場所がいいっていうのもあるし、買いやすいよね。
そんな感じで仕事をしていて、青山フラワーマーケットを辞めたんです。
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青山フラワーマーケットを辞めた理由

なんで青山フラワーマーケットを辞めようと思ったんですか?
「独立したい。」と思ったから。独立する時って、そんなもんじゃないですか?
会社に勤めることで社長の想いに共感する人って、私たちの時代にあんまりいなかったと思う。
「それよりこっちの方がいいんじゃない?」って気持ちが強かったから、私は「私の思う通りにやりたい。」って思ったの。
「社長が嫌い。」っていうわけではなくて、青山フラワーマーケットの社長はとても魅力的な人。
だけど、私は「私のやり方とかやりたいことを形にしたいな。」と思って、同期のあおいさんと一緒に「じゃあ、やろう。」って始めたのよね。

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