訪問マッサージを仕事にしている方は、患者さんに対してどのような想いで仕事をしているのでしょうか?
今回、鍼灸マッサージ師として訪問マッサージの仕事をしている齋藤大輔氏に「訪問マッサージの仕事に対するこだわりと患者さんに対する想い」というテーマでインタビューを行いました。
訪問マッサージの仕事で、売上を安定させるためにどのような行動をしたのか、齋藤さんにとっての「仕事の定義」、仕事をする上で患者さんの為に大切にしている想い、訪問マッサージ事業を諦めようと思った事などを伺っています。
訪問マッサージの仕事に興味がある方や、これから鍼灸マッサージ師として起業・独立を考えている方の参考になれば嬉しいです。
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売上を安定させるための行動

売り上げを安定させる為に、どんな行動が役に立ったと思っていますか?
1つは営業をした事ですね。数打たないといけないので。
営業を数打って、「治療を依頼して頂いた患者さんに、いかに自分のファンになってもらうか」が大事だと思います。
なので、「どうやって治療を継続して受けてもらえるようにするか」を考えたことですかね。
治療を継続して受けてもらう為には、患者さんの満足度を上げないといけないじゃないですか。
満足度を上げる為に何をしたかというと、患者さんの生活をちゃんと捉えるようにしました。
よくありがちなのが、「30分だけ治療して、帰ります。」っていうパターン。
治療をする、その30分だけしか考えていないことってありますよね。
だいたいみんなそうだし、自分達が受けに行くマッサージ屋さんとかもそうじゃないですか。
治療をしている30分だけだと、そこだけしか見られないし、本当にこの人が良くなるか分からないじゃないですか。
「マッサージをしている30分」って患者さんの1週間の中で、「限られた30分」ですよね。
でも、1週間ってもっと長いじゃないですか。
もっと長いスパンで患者さんを見た時に、この「限られた30分」をどう有効に活用できるか。
1週間という時間の中での30分を考えれば、他の行動とのつじつまも合わせられるし、「患者さんにとっていい時間になるな。」って思ったんですよ。
だから、まず患者さんの生活スタイルを把握する。
どうやって患者さんの生活スタイルを把握するんですか?
どういう1週間を過ごしているかを考えます。
患者さんとコミュニケーションをちゃんと取って聞いたり、患者さんとの問診が難しければ、ケアマネージャーさんとか他のヘルパーさんから聞いたりして、情報を集めていきます。
「患者さんって、こういう1週間を過ごしているんだ。」とか「1週間の中の、この時間にマッサージを利用してくれているんだ。」っていうのが分かれば、マッサージの時間はもちろんマッサージをします。
けど、「他の時間で患者さんにとって有意義になることを、何かできないかな?」って考えられるんです。
例えば「最近歩行が不安定なので、杖を購入しました。杖を買ったけど、使い方がなんとなくしか分かりません。」っていう患者さんがいた場合に、僕は「杖をちゃんと使えてるのかな?」って思って。
僕も杖の知識があるわけじゃないですけど、「杖の使い方を覚えて、教えてあげよう。」と思ったんですよね。
それで患者さんに「杖はこうやって使って歩いてくださいね。」っていうアドバイスをしたんです。
その患者さんの事を想ってやり始めたんですけど、ケアマネージャーさんが気づいてくれて、「わざわざそんなこともしてくれてありがとう。」って言ってくれたので、信頼がぐっと増しましたね。
信頼が生まれると、また患者さんを紹介してくれるんですよね。
「患者さんの満足度をあげよう。」って思って行動したのが、安定につながったっていう感じですかね。
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「仕事の定義」とは

齋藤さんにとって「仕事の定義」ってなんですか?
「プロとしての誇りをもって取り組むこと」だと思います。
仕事として考えた時に、そういうマインドを持ってやるべきなのかなって思いますね。
僕の中で仕事と仕事以外をはっきり分けるとしたら、インプットする環境なのか、アウトプットする環境なのかっていうところだと思います。
スポーツ鍼灸院の時は、もちろんアウトプットもありましたけど、インプットが多かったので、「ここでは割り切って、インプットに専念しよう。」って思ってやっていました。
自分で鍼灸マッサージ師として独立して始めた時は「今までインプットしてきたものを、アウトプットしよう。」って。
最初はもちろん不安もありましたし、やってみなきゃ分からないので、「とりあえずアウトプットしてみよう。」みたいな感じですね。
「やりながら違っていたら別の方法を探せばいいし、何か足りなかったら補えばいいし。」みたいな感じで始めましたね。
どこからが仕事としてお金をもらえるラインですかね?
僕らの仕事上、「施術」とか「治療」って言った上で施術して、患者さんがお金を出した時点で、そこがビジネスになると思います。
「お金を出せない」とか「1回で終わり」ってなればまだまだですし、お金をもらえるラインに達していないことになりますよね。結果が全てですよね。
厳しい言い方ですけど、「鍼灸マッサージ師」って職人みたいなものなので、患者さんの体が良くなるのが結果ですし、「気持ちいい。」とか「受けてよかった。」って思ってもらうことが評価であり、結果だと思うので、それ次第ですよね。
その為に僕ら「鍼灸マッサージ師」はあらゆる手を尽くします。
仕事をする上で「大切にしている事」

仕事をする上で「大切にしている事」ってありますか?
その仕事が楽しいかどうかですね。
やっていて楽しいかどうか。
感覚的なものですね。
仕事をしていて、「これって本当に楽しいのかな?」って思った事あります?
ありますよ、もちろん。
僕の中で3人の齋藤がいるんですよ。
「齋藤A」と「齋藤B」と「齋藤C」。齋藤会議が行われているんですよ、毎回。
「齋藤A」は僕自身なんですよ、齋藤大輔自身。
「齋藤B」は客観的に見て、相手の立場から考えたりするんです。
「齋藤C」はもっと上から、天から見ていて「世の中的にどうなの?」っていう問いかけをしてくれるんです。
何か問題が起きたりとか、「仕事をしていて楽しくない。」とか、自分の中でモヤモヤした時には齋藤会議が開かれます。
だいたい「仕事をしていて楽しくない。」とか、ブーブー文句を言い始めるのは「齋藤A」なんですよ。
「齋藤A」が「こんな仕事をしていても楽しくない。」って言うと、齋藤Bは「患者さんのニーズとか希望はこうだろ。それって自分の感情でしか物事を捉えてないじゃないか!」と言うんです。
齋藤Aが「そっかぁ。」って気づく時と気づかない時があるんです。
そこで終わらない時は「齋藤C」が出てきて、「でもね、2人はそう言ってるけど、世間をもっと大きく見た時に、今やってる仕事が世の中にどういう影響を与えているか、もっと大きなものさしで見てみたら。」って言われて、2人が「そっかぁ。」っていうのが脳内で行われているんです。
もちろん「仕事が楽しいかどうか」っていうのが基準で考えていますけど、「仕事は楽しいだけがすべてじゃない。」っていうのも分かっています。
患者さんは違いますけど、毎日同じような施術をしていたら、「この仕事って楽しいのかな?」ってなってきますよね?
そうですね。
もちろん患者さんによってやり方や施術方法は変えますけど、捉え方を変えたりとか考え方を見直したりして、仕事がマンネリ化しないようにしています。
何か少しでも患者さんの変化を発見して、そこをフィードバックしてあげたりとか、逆にこっちが気づいて対処したりしています。
ずっと仕事をしていると、ルーティーンになっちゃいますからね。
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訪問マッサージの仕事を諦めようと思った事

訪問マッサージの仕事を諦めようと思ったことはありますか?
あります。営業しているのに、患者さんが増えない時期とか。
行動しているのに結果が表れない時はそう思いますよね。
「大丈夫かな。これでいいのかな。」とか思います。
そういう時に限って、同級生の活躍とかが目に入ったり耳に入ったりするんですよね。
「あいつ、すげー活躍してるのに、俺こんなところで終わっちゃうのかな?」とか「ちゃんと就職して、ちゃんと仕事して、親に還元するのが真っ当な生き方なのかな?」とかすごい考えましたけど、患者さんを目の前にしたら、その患者さんをここで断れないし、その患者さんがよくなることだけしか考えられないんですよ。
ここで「訪問マッサージ辞めますんで、すいません。」って断ることは、絶対にできないなと思って。
それがデカいですかね。ほっとけないし。
その「諦めよう」と思った気持ちを、どうやって乗り越えたんですか?
やっぱり患者さんですよね。
患者さんに感謝されたり、患者さんの笑顔を見たり、そういうのを見るたびに、「今は少ない患者さんだけれども、この人達の笑顔を見る為に頑張ろう。」とか「この人達の為に行動していることは間違ってないし、今は苦しい時期なんだ。」って捉えるように考えました。

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