鍼灸マッサージ師として独立した場合、どのように仕事を取ってくるのでしょうか?
今回、鍼灸マッサージ師として独立した齋藤大輔氏に「鍼灸マッサージ師として独立し仕事を取ってくる方法とは」というテーマでインタビューを行いました。
鍼灸マッサージ師として独立しどのように仕事を取ってきたのか、仕事が増えていった過程と営業方法、保険制度と独立当初の懐事情などを伺っています。
鍼灸マッサージ師としての独立を考えている方や、ゼロからの起業・独立を考えている方の参考になれば嬉しいです。
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鍼灸マッサージ師としての独立と最初の仕事
鍼灸マッサージ師として独立して、最初はどうやって始めていったんですか?
僕以外に、マネージャーともう1人サポートの人がいるんです。
独立してすぐに3人で決めたんですよ、契約みたいなのを。
「一応、最初はちゃんとしよう。」ってことになって、契約書を作りました。
「僕の判断ですべて決めていい。」っていう事になって、仕事をやるかやらないかとかお金の判断とか、「僕が発信したら、それが全部適用になる。」みたいな契約書を作って。
それだったらリスクもないし、もちろん信用はしてますけど、最初はちゃんとしたほうがいいなと思って。
最初、とりあえず患者さんはいなかったんですけど、「開業届だけ出そう。」ってなって、開業届を出したんです。
開業届はどこに出したんですか?
杉並区の税務署に。
2013年の7月19日に開業届を出しましたね。
「個人事業主として、独立してこういう仕事をやっていきます。」っていう書類ですね。
あと、訪問マッサージで独立する時って、保健所に「出張施術書」っていう届け出を出さないといけないんです。
その「出張施術書」も出したんですけど、最初はまったく何もしていなかったです。
その時、僕もまだ修行中だったし、2014年の3月までは治療院を続けないといけなかったんです。
それもあって時間がなかったので、届け出だけ出して、ノータッチだったんですよ。
でも、2013年11月に、ここはデイサービスとつながっているからいい部分だと思うんですけど、デイサービス経由で「こういう患者さんがいるんですけど、行けますか?」って言われて、「あ、仕事が来た。」と思って。
初めて仕事の依頼が来た時は、まだ「鍼灸マッサージ1本でやる。」って決めてなかったんですけど、「1人だったらなんとかなるかな。」と思って、契約をしました。
その患者さんのお家に行ってマッサージをやり始めたんですけど、その患者さんが末期のガンで亡くなっちゃったんですよ、契約してすぐに。
仕事がきたと思ったら、すぐに亡くなっちゃって、とても残念だったんですけど、これはもうどうしようもできない事なので。
でも、そこの奥さんにすごい気に入ってもらえて、「主人の葬儀とかすべて一段落したら、私がマッサージを受けたいのでお願いします。」って言われて、2014年の2月からその奥さんと契約してやるようになったんです。そこから徐々に毎月1人2人と患者さんが増えていって。
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仕事が増えていった過程と営業方法
徐々に増えていった仕事は、デイサービス経由の紹介なんですか?
もちろんデイサービスの紹介もあるし、別経由での仕事もあったんですけど、最初は紹介での仕事がほとんどでしたね。
それで、紹介してもらった患者さんと契約しながら、徐々に仕事を増やしていきました。
それで「鍼灸マッサージ師を本業にして4月からやっていこう。鍼灸マッサージ師1本で行こう。」って決めてたんで、3月で修行は終わりにして、バイトも全部辞めたんですよ。
デイサービスは続けてましたけど、その時勤めていたフィットネスクラブとかは全部辞めて、鍼灸マッサージ師1本になったんです。
他の仕事を全部辞めて大丈夫だったんですか、生活は?
大変でしたよ。
最初は患者さんもそんなにいないし、その時契約していた患者さんだけで生きていけるような売り上げはまったくなかったので。
最初は営業ですね。ピンポンを押して。
でも、一般家庭ではなくて、「ケアマネージャー」さんっていう「要介護・要支援の人のケアプランを作成する人」がいるんですよ。
そのケアマネージャーさんがいる事業所にピンポンをして、「私、訪問マッサージを開業する事になりました。もし誰かいたら紹介してください。」っていう営業をやり始めたんです、4月から。
ケアマネージャーさんがいる事業所って、何件ぐらいあるんですか?
杉並区だけで200件近くあると思います。
それを調べて、リストアップして、ひたすらピンポン押して。
杉並区にある事業所はほとんど回ったんじゃないですかね?
2ヶ月ぐらいでほとんど回ったと思います。
営業ってすごい苦手ですし、営業経験もなかったですけど、「とりあえず、患者さんを確保しないといけない。」と思って、ひたすらピンポンをしました。
やっぱり行動すると変化が起こるんですね。
ケアマネージャーさんから電話が来て、「こういう患者さんがいるんだけど、行ける?」みたいな。
「行けます!」って返事をして、1軒ずつ回りました。
もちろんダメになったパターンもあるし、今も継続している患者さんもいるんですけど、とりあえずその時はひたすら行動しましたね。
そうやって行動できる人って、なかなかいないんじゃないですか?
そうですね。僕も最初は「営業をするしかないな。」と思っちゃって、やった感じです。
それ以外の道がないから、逆にできたんだと思います。
その時はお金がなさすぎて、患者さんのお宅に行くとお菓子とか出してくれるんですよ。
そのお菓子で生き延びていた時もありましたね。(笑)
鍼灸マッサージの保険制度と独立当初の懐事情
その時は実家だったんですか?
その時は実家でしたね。
なので、朝と夜はご飯を食べる事ができました。
でも、昼のご飯代はもったいなかったから、お菓子を食べたりとか、朝ごはんを持って行ったりしていました。
一人暮らしの人に比べたら甘いですよね、僕なんて。
そうやってなんとか生き延びてましたね、なるべくお金は節約して。
医療保険を使ったマッサージって、審査に3ヶ月かかるんですよ。
保険がおりる為の審査です。
例えば、5月に申請の書類を提出すると、請求した分は7月の終わりか8月に入ります。
3ヶ月は一切もらえないんです。
「最低3ヶ月は無給」ってことですよね?
そうなんです。
ゼロからスタートして、患者さんが増えてきて売り上げが上がるんですけど、そのお金が入るのは結局3ヶ月後なので、それが最初は辛くて。
最初の運転資金はマネージャーさんに出してもらって、夏〜秋ぐらいに徐々にちゃんと入るようになってきて、払うのは払って、返せるものは返しましたね。
それが徐々にできるようになってきたのが、去年の秋ぐらいですね。
今は手伝ってもらっている分のフィーが出せるぐらいにはなったので、「なんとかここまで来た。」っていう感じですね。
でも、本当に山あり谷あり、最初からうまくいくことはなかったですね。
今は自分の生活費も稼ぎつつ、フィーも払いつつやっていますけど、本当に「やっと」という感じです。
まぁでも、そんな対して大きい額じゃないですけど。
デイサービスのところはなんで紹介をくれたんですか?プレゼンを断られたのに、関係は良好だったんですか?
関係は良好でしたね。
デイサービスっていうよりも、先ほどのマネージャーの後輩の方が訪問介護の仕事をしているので、ケアマネージャーから「マッサージが必要な人がいるんだけど、誰か知らない?」って聞かれて、「知ってます。」って僕を紹介してくれたんです。
それが一番最初の売り上げになりましたね。
デイサービスとの関係だけだったら、あんまり一緒に仕事をしたくなかったんです。
でも、マネージャーさんと話して、「やっぱりどこかに拠点を持たないといけない。」っていう話になって、デイサービスの社長にお願いをして、使っていない社宅を1室借りたんです。
社宅を借りてる身なのでこっちもへりくだりつつ、それなりに気を使っているので、それなりに良好な関係は保てています。
でも、ほとんど顔を合わせる事もないですし、お金を払って入っているので。
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最近の営業と自分でお金を生み出すということ
「最初に営業した。」って言ってましたけど、最近は営業はしているんですか?
最近はあんまり営業をしてないですね。
でも、今月末から営業を再開しようと思ってます。
最近はちょっと仕事が忙しくて営業をしてなかったんです。
最近、少し余裕が出てきたんですよ。
自分のキャパシティーもまだ10割いってないですし、高齢者なので波があるんですよ。
新規で契約しても、お亡くなりになられる方もいれば、卒業するっていう方もいるんですよ。
「1年間受けたから、もういいわ。」っていう人もいますし、「合わなかったから、やっぱりいいわ。」っていう方もいます。
やっぱり「常に営業しなきゃいけない。」と思ってるんで。
最近バタバタして営業に行けなかったので、来週からまた空いている時間に営業に行こうかなと思っています。
その営業方法ってスタンダードなやり方なんですか?
そうですね、スタンダードな営業方法だと思います。
「訪問マッサージをする」=「営業をする」=「ケアマネージャーさんのところを回る」っていうのが通常のやり方だと思います。
やっぱりケアマネージャーさん経由が多いですね。
その浦和のお客さんの仕事はいつから始まったんですか?
去年(2014年)の12月ですね。
独立して生活費を稼げるようになったのはいつですか?
今年の初めぐらいですね。
7月から考えると、1年半。
一人暮らしでも生きていけるくらいの金額です。
1月の時点でそれくらいの金額を稼いでいました。
「自分が生きていく為のお金を、自分で生み出す。」っていうのは相当難しいなって、最近実感しています。
それは僕も独立してみて思いました。
どこかに就職すれば仕事がありますけど、「自分で仕事を生み出す」っていうのは難しいですよね。
独立した当初は、相当きつかったです。
夜はバイトしたりもしてましたし。
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