アクセサリーを制作して、販売しようと思ったことはありますか?
もし自分のアクセサリーブランドを作って、独立したい場合、どのように行動すればよいのでしょうか?
今回、アクセサリーブランド「YORTZ」を立ち上げた中田チサ氏に「アクセサリーを作り始めた理由とブランドが軌道に乗るプロセス」というテーマでインタビューを行いました。
アクセサリーを最初に作りたいと思った理由や、ターゲットの選定、どのように営業していったのかなど、アクセサリーブランドを立ち上げてから軌道に乗るまでのプロセスを伺っています。
これからアクセサリーブランドを立ち上げたい方や、アクセサリーを作って販売したいという方の参考になれば嬉しいです。
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目次
「アクセサリーをやりたい。」と思った理由とは
なぜ「アクセサリーをやりたい。」と思ったんですか?
絵って、大きい絵と小さい絵があるじゃないですか。
私、小さい絵が好きなんですよね。
30万円を出して1週間個展をやったことがあったんです。その個展がきっかけです。
1週間でその展示は終わってしまうんですけど、その後、他の人がどこかで絵を見たいと思っても、ホームページとか紙でしか残らなくて、空間は残らないんですよね。
大きな絵だったので、ホームページとか紙で再現することって難しいじゃないですか。
「絵を見たい。」って言ってくれたとしても、見せる場所もないし。
「絵って、そういうものだな。」と思って。
それで、私は小さいものが好きで、アクセサリーがもともと好きだったので、「自分でアクセサリーを作ったら、人の体をキャンバスにして、私が描いたものが移動する。」って思ったんですよね。
私の絵が人の日常生活の中でずっと生きるから、30万円払って1週間で終わるんじゃなくて、その人がアクセサリーを買ってくれたら、長い時間をかけていろんなところで私の絵が見てもらえると思って、「アクセサリーをやりたいな。」って思ったんです。
他のアクセサリーデザイナーさんがどうかは分からないけど、「その女性を美しく見せたい。」とか、「日常にハッピーを。」とかいうのはあんまりなかったですね。
人にはそれぞれ個性があるので、「その人の髪型だったり、顔だったり、服装とアクセサリーが合わさって、またそれが違う作品になって、それが街中を歩くって素敵だな。」と思って。それで「アクセサリーをやろう。」と思ったんです。
アクセサリーを作り始めた時の動機は、今も変わらないですか?
動機は今も変わっていないですけど、自己満足だけじゃなく、「アクセサリーを着けた人が自分で働いたお金を何千円も出して買ったもので、どれだけ喜びが得られたか」っていうのは考えています。
アクセサリーって、その人を綺麗に見せることだけがいいとは思わないんですよ。
アクセサリーにパールとかお花をつけたら、ガーリーになって可愛くは見えるんですけど、「可愛いことだけがその人の満足に繋がるか?」って言ったら、違う人もやっぱりいるので。
個性的な人がつけて、「このアクセサリーが好き!」とか「このアクセサリーを好きな人に見てもらいたい!」って思ってもらいたいんですよね。
でも、「一般ウケはしないアクセサリー」っていうのも自己満足なので、とにかく誰が買っても、ちゃんと満足が得られるような、そんな感じでアクセサリーのデザインはしています。
だから、「他のブランドとかぶりたくない。」っていうのはあって、アクセサリーっていろいろメーカーもあるので、大手の量産もののアクセサリーだと、「このアクセサリー、ここで買ったけど、もう500円安くてそっくりなアクセサリーあるじゃん。」とかはよくあるので、「そういうアクセサリーは絶対作りたくない。」って思います。
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アクセサリーブランドを立ち上げるプロセス
最初に作り始めたアクセサリーは、今と同じ形なんですか?
そうですね、あんまり変わらないですね。
絵をアクセサリーにしたくて、でも「紙だと耐久性がないから、どうしたらいいかな?」って考えていたら、「樹脂っていう手段があるな。」と思って。
樹脂にも種類がたくさんあって、私が作りたいアクセサリーにどの樹脂が向いてるかも分からないので、1年半ぐらいかけて研究するんです。
樹脂をいっぱい買ってきて、「これダメ、これもダメ。」って。
そうやって研究しながら、社員になって、営業をやってっていう。
それでアクセサリーブランドが軌道に乗り始めたと?
はい。
サラリーマンをやっているうちに、だんだんアクセサリーを作る技法が確立してきて、会社が5時に終わるんですけど、うちの会社は残業がなかったので、そっこうで家に帰って、絵を描いたり、アクセサリーの試作を作ったり、パッケージを決めたりしていました。
まずは「商品」っていうものを作ろうと思って、「商品の値段を決めるのはすごい重要だ。」と思ったので、慎重に決めましたね。
一番最初につけた価格から、どんどんプライスラインができるじゃないですか。
なので、いろんな人のアクセサリーを見にいって、「同じ素材でこの価格なんだな。」とか「この人はこの価格なんだな。」とか、「私が置きたいお店はこのお店だから、どんな人が来るかな。」とか。
女子高生とOLだと出せるお金も違うので、「どんな人が来るお店に置きたいのか。」を考えて、基本のプライスラインを決めて、パッケージを決めて。
でも、それだけじゃ営業ができないから、アクセサリーの写真撮影をして、資料みたいなものを作っていきました。
ターゲットはどこを狙ったんですか?
20代前半の女の子ですね。「PARCO」と「LUMINE」が好きだったので。
「PARCO」とか「LUMINE」に置けるような価格にしました。
あとは「原価割れしない」とか「これぐらい時間かけても利益が出る」とか、そんな感じで値段を決めましたね。
あと、「いくつ売れたら生活できるか」とか。
そうすると、「だいたいこのくらいの値段かな。」って。
一番最初の価格を決めれば、それ以降は「それよりも大きいか」とか「それよりもパッケージが凝っているか」とかで値段が決めていけるので。そうやってアクセサリーの値段を決めています。
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アクセサリーを卸すための営業方法
商品ができあがった後はどうしていったんですか?
そのあとは商品を増やして、ネットでアクセサリーを置いてくれるところを調べました。
いきなり大きいところに行っても、私はサラリーマンで開業届けも出していないし、履歴もないから「大きいところは絶対無理!」と思っていたんです。
そうすると、作家さんのアクセサリーを扱っている委託の店舗があるんですね。
主婦とか若い子とか、駆け出しの人達のアクセサリーを扱っているお店があるので、そういうところを調べて、遠いところは送ったり、近いところは足で行って、「私、こんなアクセサリーを作ってるんですけど。」っていう営業をしていました。
その時に作っていたアクセサリーが、ハイエナとかカラスとかコウモリとかで、今も販売しているんですけど、「お客様はかわいいものが好きなので、その雰囲気のアクセサリーだったら、ちょっとうちでは難しいです。」って言われて、断られたお店もありました。
その時に「じゃあ、もうちょっとかわいいアクセサリーを作ろう。」と思って、インコとかかわいいアクセサリーを作ってもう1回営業したら、「あ、じゃあやります。」って言ってくれたりしましたね。
最初は分からないこともあったから、めっちゃアクティブで、ちょっとでも「いいな。」と思ったお店は何回か足を運んで、「実はこういうアクセサリーを作ってるんです。」って足で営業したり、送ったりしていました。
あとはイベントに出たり、展示会に出たり。
そうして動いているうちに、少しずつアクセサリーを置いてもらえる店舗が増えていった感じですね。
そういうイベントや展示会はどうやって調べたんですか?
けっこう募集してるんです。大きいイベントで、割と誰でも参加できるやつとか。
仕事が5時で終わるので、昼休みの1時間と5時から夜までの時間を使って、アクセサリーを作って、商品の撮影をして。営業の文章を作ったり、展示会に出る為の申し込みをしたり。
あとは自分でホームページを作って、オンラインショップも作ってっていう感じですね。
アクセサリーを宣伝するホームページ制作
「自分でホームページを作る」って、どうやって作り始めたんですか?
まったく分からなくて、「ホームページの作り方」から調べました。
私はHTMLでホームページを組みたかったんですけど、今のサラリーマンをやりながらではとてもやってられないと思って、やりやすいソフトを探して、電車の中で読んで、昼休みとかに作ってましたね。
その時、ノートパソコンを買ったので、ノートパソコンでホームページを作ってました。
今あるホームページはその時に作ったやつなんです。
そろそろ変えようとは思うんですけどね。その時は独学でやりました。
けっこう独学率高いですね。
そうなんですよ。もうそれしかないですよね。
営業の仕事しながら、アクセサリーを作りながら、とてもじゃないけど学校には通えないので。
でも、その時に「自分で調べてやる。」っていうのが、中学の時に好きだった音楽を、ネットがないからライナーノーツと本を見て、アーティストを調べるっていう経験が、たぶん根っこにあるからだと思うんですよね。
だから、あんまり苦じゃなかったです。
昔から「勉強したい。」って言った時に、親が止めないで私立に入れてくれたから、自分で調べて勉強できるっていうのがあったので、やればできると思って、本を買って、マーカー引いて。
「拡張子って何?」っていうところから入ったので、「なんでダメなの?どうしてうまくいかないの?」って発狂しそうになりましたけどね。(笑)
本を読んでも分からないところは、美大の時にデザイン科の子もいたので、デザイン科の子に聞いて。
周りにすごくいい人が多かったんですよ。分からない時にはすぐメールして、すぐ返ってきて、「ホントありがとう。」みたいな感じでしたね。
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