M&Aコンサルタントの仕事とはどのようなきっかけで始めるのでしょうか?
「M&A」や「コンサルタント」という名前は聞いたことがあるものの、まったく接点がないとなぜその仕事を始めるのか分かりづらいですよね。
今回、M&Aコンサルタントとして起業した中村亮一氏に「M&Aコンサルタントの仕事を始めようと思った理由とは」というテーマでインタビューを行いました。
M&Aコンサルタントの仕事を始めようと思った理由、5年間で5社転職した時の仕事内容とは、リースファイナンスの運用とは、投資銀行の立ち上げ、M&Aの仕事を始めたきっかけとは、「ファンドを作る」とは、「投資」と「元本保証」の違いなどについて、お話を伺っています。
M&Aコンサルタントの仕事に興味がある方や、これからM&Aコンサルタントとして起業したいと考えている方の参考になれば嬉しいです。
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目次
M&Aコンサルタントの仕事を始めようと思った理由
なぜM&Aコンサルタントの仕事を始めようと思ったんですか?
M&Aコンサルタントの仕事を始めようと思った理由は、人材紹介会社の人に「君の転職先はないよ。」って言われたので、「自分で会社をやるしかないな。」と思ったからです。
なんでそんな風に言われたかっていうと、5年間で5社転職したんですよ。新卒で入って1年に1社ぐらいのペースで。
そうしたら、転職エージェントの人から、「そんなに激しく転職をしていると、もうどこも紹介できる会社はありません。」って言われたんです。
その言葉でちょっと吹っ切れたところがあって、「だったら自分で会社をやろうかな。」って思ったんです。
なんで、5年間で5社も転職したんですか?
飽きちゃうんですよね、仕事。(笑)
仕事をしていると楽しいんですけど、仕事がルーティン化して作業になってくると、急に楽しさがなくなってしまって。
そうすると、そこの会社にいる価値が急に感じられなくなってくるんですよね。
そう考えた時に、「転職しようかな。」と思って転職をしてきたという感じです。
5年間で5社転職した時の仕事内容とは
どんな仕事をされていたんですか、その5社では?
最初はリース会社です。いろんなものをリースしていましたよ。
コピー機もありましたし、パソコンもありましたし、電話交換機とかモデムなんかもありました。
デカいのでいうと、輪転機なんかもありましたね。新聞を印刷している機械とか。
オフィス用品のリースが多かったですけど、オフィス用品に限らず、本当にいろんなものをリースしていました。
リース会社の後はどういう仕事をやっていたんですか?
そのリース会社を辞めた後は、外資系のファイナンス会社に行きました。
「プロダクトファイナンス」って言って、そこの会社が作っている製品があるんです。
その「プロダクトファイナンス」に「その会社が持っている余剰資金を運用するためにファイナンスをかましていく。」っていう事をやっていました。
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リースファイナンスの運用とは
えっと、どういうことでしょうか?(笑)
そこがお金持ちの会社で、当時日本円で言うと何兆円かあったんですよね、利益剰余金が。
その利益余剰金を持っているだけでは、全く利益を生まないわけですよね。
そうすると「その利益余剰金を運用する。」っていう事をやるわけです。
その利益余剰金の運用チームに入って、「日本でのリースファイナンスを通じた運用をする。」っていう仕事をしていたんですね。
日本の預金金利ってどれくらいか分かりますか?
0.03%くらいですか?
まぁそのくらいですね。実際には0.01%とか0.02%とかなんですけど。
お金を銀行に預けても、それぐらいの金利しかつかないんですよ。
それをうまく運用すると、年間で5%とか6%っていう利回りで回すことができるんですね。
それってすごくメリットがあるじゃないですか。
そこにかかっている人件費を差っ引いたとしてもメリットがあるので、そういう部署を持っていたんです。
その会社は運用部門は別部門で、主流はIT系の機器を作っている会社なんです。
なので、その商品を販売する時にお客さんが直接お金で買えないから、「リースにしてほしい。」とか「リースでお貸しします。」となるわけです。
あるいは売る時に「お金がなくてもこういう仕組みがあるんですけど、どうですか?」っていう、仕組みものとして売っていくんです。
その時に「うまくファイナンススキームを作る。」っていう事を、いろいろ考えてやっていたんです。
投資銀行の立ち上げ
なるほど。手持ちの資産をどう増やしていくかっていうことですね。
その会社の後は、投資銀行の立ち上げに参画しました。
社債の引き受けとか、ちょっと前に話題になりましたけど、「パナマペーパー」ってあったじゃないですか。
「パナマペーパー」ですか?
ようは、税金を国内で払うんじゃなくて、税金が安い国や地域で税金を払うようにすると、たくさんお金が残りますよね。
それを「租税回避」って言うんですけど、「安い税金のところにペーパーカンパニーを作って置く。」っていうことを、いろんな会社がやっているんです。
そういうところで、「ファンドを含めた資金をうまく運用するためのスキームを作る」という事をやっていました。難しいですよね。
めちゃくちゃ難しいです。(笑)
でも、これってアパレル業界だと、「テキスタイルがどう。」とか話をしても、僕が分からないのと一緒ですよね。そういう特殊な世界なんですよ。
特に投資銀行なんかは「お金が余っていて、うまく運用したい。」っていう人達のニーズを叶えるために商品を作ったりするんです。
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M&Aの仕事を始めたきっかけとは
今までM&Aに関連する仕事をやってきたんですか?
その投資銀行にいる時に、M&Aの仕事をやっていたんです。
投資銀行に勤めている間にM&Aの仕事をやって、その投資銀行の後は小さいM&Aのコンサル会社に行きました。
そこでM&Aの仕事について修行を積ませてもらって、その後に紹介会社の人に「転職先を紹介できるところがない。」と言われていたので、その頃から「独立をしよう。」と思い始めました。
そうしたら、大学の先輩から「1年ぐらい手伝って欲しい会社があるんだけど。」って言われて、「頑張ります!」って言って、そこで1年ぐらい働いて、それで独立したっていう流れですね。
その先輩が「手伝ってほしい。」って言った会社もM&Aの会社なんですか?
いえ、そこは不動産の投資ファンドです。そこで1年間、実務をやりました。
不動産投資ファンドを作ったりとかしましたね。
即戦力として買われて入ったっていう感じですね。
「ファンドを作る」とは
ファンドを作る?
はい。ファンドを作るんです。
「ファンド」って何かっていうと、「お金の塊」みたいな感じです。
お金を貸し出してもいいし、それをどんな商品にしてもいいんですけど、「お金をどっと集めてきて、そのお金をうまく運用して、投資家にたくさん配分しましょうよ。」っていう仕組みです。
お金を集めて運用する為の箱の事を「ファンド」って言ったりしていますね。
その投資家っていうのは、お金を払う側の人です。
それはその会社の株を買っているわけではなく、ただ単に投資しているんですか?
株を買っていることもありますし、「優先出資」っていう形を取っていることもありますし、「匿名融資」っていう形を取っていることもあります。
ただ、レバレッジをかけるために、投資…
例えば、1億円を投資して、50億円の不動産を買おうとした時に、49億円足りないじゃないですか。
「この足りないお金を銀行で借りてきて買っちゃう。」なんていうことがあるわけですよね。
そうすると、銀行って今は安い金利で借りられるので、例えば「年間1%金利を払えばいいですよ。」と。
この不動産を買ったとしたら、50億円。
その不動産から年間5%収益が上がってきますよと。
投資家さんが50億円投資をして買っちゃうと、5%ですよね、利回りは。50億円の5%なので。
でも、49億円の1%しか金利を払わなくて良かったとしたら、その時点でかなり有利になるんですよね。
このロジックは分かりますか?
・・・(笑)
もっとシンプルにしましょう。
例えば、10億円の不動産があります。
ここから5%の収益が上がってきます。
10億円の5%はいくらですか?
5000万円です。
そうです、5000万円です。
なので、投資家さんはそのまま買ってしまうと、税金などの費用を考えないようにシンプルにすれば、ざっくり投資の収益は5000万円なんです。
でも、投資家さんは1億円の投資をします。残りの9億円は銀行から借りてきます。
銀行の金利が1%の場合、9億円の1%の金利っていくらですか?
900万円です。
さっき10億円の5%が5000万円でしたよね。
そこから金利の900万円を払うと、1億円投資をして、4100万円が手元に入ってきます。
わお!(笑)
これが「レバレッジをかける」っていうことです。
「レバレッジ」とは「てこの原理で収益率を大きくする」っていう考え方なんですけど、こういう仕組みを作るっていう仕事をしていたんですね。
「投資」と「元本保証」の違い
例えば「1億円を出していただけたら、1年後には1億4100万円にして返しますよ。」っていうパックとして商品を作るという感じですか?
「返します。」とは言わないですね。投資なので、「返します。」って言っちゃうとアウトになっちゃうんですね。
なので、「これだけの収益性がある投資案件がありますけど、やりますか?」っていう話をするわけです。
「返しますよ。」と「投資」の差って何ですか?
「返しますよ。」っていうのは、「元本を保証して返しますよ。」っていうことですよね?
でも、保証はできないので、「返しますよ。」とは言えないんですよ。
なので、「元本割れするリスクもありますが、これくらい儲かる可能性もありますよ。」っていう説明をして、最後に買ってもらうという流れです。
ギャンブルに近いということですよね?
そうですね、考え方によってはギャンブルに近いかもしれません。なので、いかにギャンブルに感じさせないかっていうのは大事です。
深いですよね。本当に不思議な世界ですよね。
僕もこの業界に初めて入った時は「こんな業界があるんだ。」って思っていました。
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