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「デザイナー」と「アーティスト」の違いとは

デザイナーとアーティストの違いとは

テレビやWebなどのメディアでは、「アーティスト」にフォーカスが当たり、「アーティスト」を目指して美容師やファッションデザイナー、写真家などを目指す人が多いように感じます。

では、「アーティスト」と「デザイナー」の違いは何でしょうか?

今回、美容師として独立した板倉貴宏氏に「『デザイナー』と『アーティスト』の違い」というテーマでインタビューを行いました。

「デザイナー」と「アーティスト」の違いを考える事で、仕事に対する考え方の参考になれば幸いです。




「デザイナー」と「アーティスト」の違いとは

テレビ等に憧れて「ショーの裏方として、髪型で自分を表現したい。」という人が多いと思うんですけど、どう思いますか?

いますよね。

「デザイナー」と「アーティスト」の違いだと思うんですよね。

解釈はそれぞれかと思うんですけど、僕の中では「アーティスト」は「イメージ」。

お客さんの意向がどうこうっていう事ではなくて、一方的に発信するもの。

「僕の世界観はこうですよ。」っていうのを示していくんですね。

「デザイナー」っていうのは、それをいかにお客さんに合わせていくか。

イメージがあって、お客さんに合わせる、かつ利益をもたらすもの。

「アーティスト」の人は、売れるか売れないかどっちかしかないんです。

「デザイナー」は「売れるようにするもの」って考えてます。

ショーのような表舞台でやっていくということは、すごく魅力的でしょうし、その方向に行きたい人は行った方がいいと思います。

なんか「ヘアメイク」と「美容師」って、また違うんですよね。

例えば、ショーの裏方さんとかテレビや雑誌の頭を作る人っていますよね。

美容室で勤めた経験がそんなになくても、ヘアメイクさんってなれるんですよ。

資格は必要なのかもしれないですけど、そのくらい別物なんですよね。




「アーティスト」になるには

アーティストになるには

自分もファッション業界にいたんですけど、「コレクションブランドに入りたい!」っていう人がたくさんいたんです。最初の動機がアーティスト寄りの人って多いと思うんですよ。ファッション業界とヘアメイク業界って似てますよね。

そうですね。でも、やっぱり経験しかないんですよね。

いろんな条件ってあるじゃないですか。

一度そこを通ったことがある人って、その難しさをその人なりに経験してますけど、それはその人なりの経験であって、これからやる人はそうじゃないかもしれない。

唯一の1人になれるかっていうのは分かりませんけど、平等にみんなチャンスがあると思うんですよ。

肝心なのは「アーティストになりたい。」って、ずっと思えるかどうか。

別に思えなくてもいいんですよ。

嫌だったら止めればいいので。

それでもずっと「アーティストになるんだ。」って思えた人がなれるんじゃないかって思うんですよね。

美容師を目指すきっかけとなった、ヴィダル・サスーンの世界と現状やっている事は違いますが、何か思うところはありますか?

ないですね。

ファッションショーの裏方のお手伝いをやったことはあるんですよ。

大きい会場で時間が限られた中でのコンテストもやったことはありますし、なんとなく空気感は感じたことがあったんですけど、実際にやってみて「こっちじゃないな。」っていうのは、自分の中で整理がついてます。

それはなにか明確な理由がありますか?

ありますね。もう別物なんです。

やっていることは変わらないんですけど、僕が今やっているのは生活に根ざした生活の一部。

ショーはやっぱりイメージなんですよね。

例えば、パリコレで練り歩いていた服を日常着れるかっていったら、ちょっと厳しいですよね?

その感覚と一緒です。

僕は日常の着心地のいいもの、かつデザイン性の高いものを作りたいんですよ。

その空気を感じ取って、自分の中ではっきりしました。

その空気を感じ取った裏方をやる時までは、「アーティストになりたい」という気持ちはあったんですか?

そうですね。

「アーティストになりたい」という気持ちもありつつ、でも最初のうちってやることがいっぱいあるんですよ、自分がいろいろできなさすぎで。

まずは目の前の、例えば「シャンプーを上手にする。」とか、そういうところに没頭するわけなんですけど、ショーなんていうのは全然先の事だと思っていました。

それで、そのうち先輩がやるショーの裏舞台のお手伝いっていう感じで入ったので、じわじわ分かってきた感じですね。




「デザイナー」としての仕事とは

デザイナーとしての仕事とは

板倉さんは「デザイナー」として仕事をしているんでしょうか?

そうです、「デザイナー」としてです。あくまでお客様の要望ありき…

もしかすると「デザイナー」と「アーティスト」の間かもしれないですね。

でも、「デザイナー」なのかな?

「こういうデザイナーです。」っていうカテゴリー、「僕、板倉です。」っていうカテゴリーがあるわけですよ。

「そこをまずは体験してください。もし気に入って頂けたのであれば、全力でやるので、是非!」っていう感じです。

「デザイナー」と「アーティスト」との違いがけっこう重要な気がします。お客さんのニーズを満たせるかどうかが。

確かにお客様のニーズを満たせるかどうかは、懸念材料にはなりますよね。

僕、大事なのは「アーティスト」として突き通せるかどうかだと思うんですよ。

そこに懸念が生まれたら、別に懸念したっていいと思うんです。

そしたら、その懸念材料を消す何かをやればいいわけですし。

そこを貫き通せれば、そのまま行っちゃうんでしょうけど、懸念材料が生まれて、ストップしちゃうんですよね。

そこで動けなくなる理由って、「アーティスト」であろうとするから動けなくなるわけじゃないですか。

でも、「デザイナー」になったっていいと思うんですよ。

「こうである。」っていう前提をなくした方がいいんじゃないかなと。

もっと柔らかく、柳のようになるというか。

その都度対応していって、自分が一番やりやすい方向で、それをクライアントに提供していく、それが一番フルパワーが出るわけじゃないですか。

それに共感するクライアントが集まるのが、事業なんじゃないかなって思うんです。

ニーズに合わせすぎても、自分が苦しくなりますし。

一番最初に言っていた、幼少期の教育で枠が出来てるので、「こうでなきゃいけないよ。」とか「こういうもんだ。」っていうのが邪魔しちゃうんですよね。

もっと自由に生きていいと思うんです、だってフリーランスなんですよ。

フリーだから自由にやってなんぼじゃないですか。

そりゃあ会社員の人からすると、一つの方向性っていうのがあるのかもしれませんけど、フリーランスだってないわけじゃないですよね。

「こういうことがしたいんだ!」って自分で発信しているわけでしょうし、だから「こうでなきゃいけない。」っていう、その枠は取っ払ってほしいなと思います。

「デザイナー」と「アーティスト」っていうカテゴリー分けすらも超越していいんじゃないでしょうか。

話の流れ上、「デザイナー」と「アーティスト」っていう違いがあるっていう話にはなりましたけど、僕の中で本当ははっきりはしてないです。

「デザイナー」の面もあるし、「アーティスト」の面もある。

それでいいんじゃないかなと思っています。

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