花嫁は結婚式で飾る花やブーケなどをどのように選ぶのでしょうか?
今回、花屋として独立した大竹ミキ氏に「日比谷花壇への就職と結婚式で花嫁が選ぶ花とは」というテーマでインタビューを行いました。
高校を卒業後、日比谷花壇への就職と新人研修、配属された「総合デザインサービスセンター」での仕事、結婚式場でのブーケ作りなどの仕事について、お話を伺っています。
日比谷花壇への就職を考えている方や、ウエディング関係のお花の仕事に興味のある方、花屋として起業・独立を考えている方の参考になれば嬉しいです。
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目次
日比谷花壇への就職と新人研修
日比谷花壇に就職してみて、どうでしたか?
そんな事があって、日比谷花壇に就職しました。
私が日比谷花壇に入った年は、新入社員が70人ぐらいいた中で、高校生は4人だけだったの。高校生は女3人の男1人。
入社試験の時にはもっと会ってたのに、いなくなっちゃったんだなと思って。その子達は落ちちゃったのか、違う会社を選んだかだよね。
それで、日比谷花壇はちょっと大きい会社だったから、新人研修みたいなのがあったの。会社の保養所に行って、みんなで研修を受けるの、泊まって。
日比谷花壇の新人研修って、どういうことをするんですか?
朝早く起きて走ったり、体操をしたり、花に関することを勉強したり。
あとは、会社に入る前の花業界の漠然とした大きい外枠と、社会人としてのマナー、「接客」っていうことをその時に教わった。
でも、その時私にはその接客がいやらしく見えて。
「お客さんに付加価値をつけて売りなさい。」って、人事部の人が言ってたんだけど、その「付加価値をつける」っていうのが、欲しくもないものを無理やり売っているみたいで嫌だったんですよね。
「そんなのはいやらしくてできない。」と思って。
最後に研修の感想文みたいなのを書かされるんです。
その時に、「接客は嫌だ。そんなことはしたくない。私はお店じゃないところに行きたい。なにか物を作るところに行きたい。」って、きっとあの時の私だから、まっすぐな気持ちで書いたのね。
会社の人達はそれを読んで、「あー。」って大変だったと思う。(笑)
でもそうしたら、それをちゃんと聞いてくれて、そうじゃない部署に配属してくれたの。
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総合デザインサービスセンターでのバンケット部門
いい会社ですね。
その配属された部署が「総合デザインサービスセンター」。名前を聞いただけじゃ、よく分からないよね。(笑)
ホテルとかデパートの中に日比谷花壇の直営店がある中で、「総合デザインサービスセンター」は本社の近くにあるの。
「総合デザインサービスセンター」には、「外商」がいたり、各店が自分のお店でまかなえない注文がこっちに流れてきて、「制作」っていう作るスタッフの人たちがいて、その注文を作る。
その商品を配送さんがいて、おじさん達が車で配送してくれる。
あとは「物流」っていうところもあったの。外に商品を発送するようなところね。
そういう梱包がメインの仕事な部署もあったの。あと、もう1つ「バンケット」っていうチームがあって。
何ですか?「バンケット」って?
宴会なんかを担当する部署。バンケット部門。
「宴会」って言われると、「宴会?」って私もすごく思った。
「バンケット」だから、みんな「バンケ、バンケ」って言うの。「番家?」とかいろいろ考えたけど、違った。(笑)
結婚式とかパーティーなんかをやるようなイメージかな。
バンケット部門に配属されたんですか?
そう。バンケット部門に配属されて、全然分からなかったけど、とにかく行くわけです。
そうしたら、結婚式場を7つぐらい持ってる部署の担当になったの。
その時は、「結婚式場を1社の業者が独占しちゃいけない。」っていう決まりがあったみたいで、結婚式場にお花の業者が1ヶ月交代で入ったり、大きい結婚式場だと2社入ったりっていう感じだったの。
1ヶ月交代だから、「この月はこの花業者がやってますけど、次の月はこっちの花業者がやります。」みたいな感じで、そうやって担当する会館とか結婚式場が多かったの。
週末は結婚式、平日は宴会。そういう感じで結婚式場を担当してやってたの。
その頃の結婚式っていうのは、だいたい結婚式場でやってることが多かったから。
「結婚式場でやっている。」ってどういうことですか?
分かりづらいですね。(笑)今は「結婚式を挙げる」って言ったら、どこで挙げますか?
ホテルで挙げます。レストランで挙げます。ゲストハウスみたいなところで挙げます。
って、結婚式を挙げるにも、いろいろあるでしょ?
他にもチャペル併設の結婚式を挙げるための建物とかもできてるでしょ?
そういう選択肢が全然無いような時代だったから、「結婚式を挙げる人は結婚式場で。」っていう時代だったの。
だから、すごい忙しかった。
週末になると、お嫁さんが持つブーケも作らなくちゃいけない。ブーケを作る仕事は、私たち女の仕事なの。「女の仕事」って言うと時代を感じるけど。(笑)
その頃、「車は女が運転しちゃいけない。」っていう会社の決まりもあったくらいだから。
結婚式を挙げる人はみんな結婚式場で挙げるから、忙しくて常に時間に追われていた。
でも、私も高卒で入って「花嫁さん」っていうものに対して、すごい夢を持っていたけど、結婚式場に入ってみたら、なんか「違う。」ってすごいショックを受けたの。
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結婚式場での花の仕事
何が「違う。」だったんですか?
うーん。自分に似合うものとか、やりたいものを追求している人があまりにも少なくてびっくりした。
なんか花嫁さんって、もっと結婚式に憧れとかこだわりを持って挙げるんだと思ってたんだよね。
でも、実際はそこまでこだわりを持っている花嫁さんって、ほとんどいなかったんだよね。
たぶん、追求したいものも見えてないんだと思う。
例えば、結婚式場に行きました。婚礼の受付カウンターです。
「いついつですね。お花どうしましょうか?」ってアルバムを持ってきて、「こういうのと、ああいうのと、こういうのがあります。この中でどうします?」っていう話なの。
それで、そこの中で「これでお願いします。」って頼んじゃうの。
頼んじゃいますか、田中さんも?
選択肢を4つぐらい言われたら、その中から選ぶかもしれないです。(笑)
「いくらのはこれです、いくらならこれです、いくらならこれです。」って。
じゃあ、一番安いやつで。(笑)
「見劣りしますよ〜。これぐらいのお部屋ですよね?これぐらいのボリュームがあったほうがいいですよ。」って。
もっと「私はこういうお花が置きたくて〜。」っていう花嫁さんが、いっぱいいると思ってたんですか?
思ってた、思ってた。自分はこういうタイプだから、こういうドレスが着たいとか、こういうお花が似合うとかね。
初めて花嫁さんを間近で見て、こんなこと言っちゃすごく失礼だけど、「うわぁ〜。」と思って、すごくショックだった。「こんなにこだわりがないんだぁ。」って。
でも、その時代でも、もっとグレードの高い結婚式だったら、また何か違ったかもしれない。
でも、大半の人はそういうスタイルで結婚式を挙げてたの。
それで、「私が挿したい花もそんな花じゃない。」ってすんごい思った。もう本当、妥協のしまくりで花を挿してた。
だからって、自分の思うような花が挿せるかどうかっていうのは、また別物ですよ。
花嫁さんは思い描いていた感じではなかった。
私はもっと「こういう形の結婚式にしたい。こういう形のお花を飾って欲しい。」そういうリクエストに応えて花を作るものだと思ってたら、誰もかれもが「何番で。」みたいな感じで、みんなそれで納得してるんだっていうこともすごいショックだった。
それはすごく納得のいかないことではあったけど、そこで時間に追われて、たくさん数をこなすっていうことができた。すごく手が遅いわけです。「手が遅い」っていうのは、納得するまで出来上がったと思えないから。
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