独立してすぐ、どのような仕事をするのでしょうか?
また、どうやって仕事を取ってくるのでしょうか?
今回、花屋として独立した大竹ミキ氏に「独立してすぐの花の仕事と営業ができなかった理由とは」というテーマでインタビューを行いました。
相棒と2人で独立してすぐに受けていた仕事内容や、仕事が入ってきていた経緯、営業ができなかった理由、「はなあわせBigmama」を辞めてしまった理由などを伺っています。
花の仕事に興味がある方や、これから花屋として起業・独立を考えている方の参考になれば嬉しいです。
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独立してからの仕事
独立してすぐは、どんなお仕事をされていたんですか?
独立して、私はやっぱり結婚式関係の仕事ですね。
あと、通常は誕生日の花とか、開店祝い用の花とか、そういう注文分を受けて仕事をしていました。
私の相棒は根のついた花が得意だったの。さっき説明した鉢物ね。
それで「はなあわせBigmama」になってから少しして、ガーデニングブームがやってくるの。
それで今までは撮影の仕事でも、例えば「1000円で花を買ってきました。それをどう生けましょう。どうやったら素敵になるでしょう?」っていう特集を組んでたところも、みんな「ガーデニング特集」に変わっていったの。
ガーデニングの最初だから、「How to」みたいな本も出てきたし、そういうガーデニング関係の撮影の仕事もすごく多かった。
あとはレストランウェディングとか、お花の教室もやってたんです。
その時やっていた花の教室は、あんまり好きじゃなかったかな。
花の教室はどういう感じでやってたんですか?
その時はまだ、花の教室の経験があんまり少なかった。
自分もちょびっとは習った事があったけど、それくらいだったから。
タイトルを決めて、それに見合う花材を揃えて、みんな同じ花材を使う。目標を目指してみんなが作る。手本はない。そういうものなの。
生徒さんは、何を目指して作るんですか?
自分の頭の中でイメージするの。手本はない方がいいのよ。みんな目で真似しようとするから。それは今も一緒。今もお手本はわざと作らない。
でも、「そのやり方は行き詰まるな。」っていうのは、自分でもすごく思ってたの。だから、やってて楽しくない。それで、タイトルを作るわけです。例えば「春の花の○○ブーケ」みたいな。
それで「縦の空間を活かした花を生けなさい。」とか、そういう決まったカテゴリーの中で花を生けるわけでしょ?
そういう教室って、1年もやってたらもう十分なんですよ。
もちろん満足いくまで活けられるようになるには、1年じゃ足りないと思いますよ。
でも、みんな別に花屋になりたいわけでもないし、「花を楽しみたい人には違うよな。」と思って。
それで、その頃はすごく「花を売るだけでは難しいんだな。」っていうことが分かったんだけど、「教室がやりたい。」とは決して思わなかった。
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独立して仕事が入ってきた経緯
店舗はないですよね?どうやって仕事を取ってきていたんですか?
それは幸いにも青山フラワーマーケットにいる時に、フリー契約じゃないけど、私に仕事をつけてくれるお客さんがあったんです。
青山フラワーマーケット時代に、社長が「この仕事はこの人、この仕事はこの人。」って振り分けてくれていたんですよ。
それで、撮影仕事でも私とあおいさんは2人でグループを組んで、その1冊の本の半分を担当したんです。
だから、その本の編集者の方とは、すごく密な関係になるわけです。
「そういう雑誌を出したい。」っていう人は、いっぱいいるんですね。
そういう媒体が外に出ると、それを見て、「そういうものを出したい!」っていう人達から、連絡が来るんです。「会社のカレンダーを作りたい。」とか。
また違う編集者の方から、「こういう花の本を出したいんだけど、こういう風にお願いできないですか?」とか。
そうやって独立してからもちょっとずつ仕事が入ってきていたかな。
やった仕事が実績として認められて、独立してからも話が来るっていう感じですね?
そうですね。「ムック」の仕事をした後からは、2人の名前で「Bigmama」としてやらせてもらっていたから。
その人が独立したら、仕事もその人についてくるっていう事もあるよね。
だから、社長からしたら面白くないことだったかもしれない。
独立して「まったく仕事がこなかったらどうしよう?」っていう不安はなかったんですか?
あった。あったけど2人いたから、「本当に仕事が来なかったら、どっちかアルバイトすればいいね。」って言ってた。
だから、本当に「独立して、最初から安定した。」っていうのはなかったよね。
独立してすぐは、仕事がなくて、2人で昼寝とかしてたの。
事務所にいて、ガランと何もないところで、「じゃあ、横になって寝ようか。」って。(笑)
独立してすぐは、そんなに仕事がバンバン入ってきていたわけではないんですよね?
仕事がバンバン入ってきてたわけじゃない。でも、彼女は彼女で教室の仕事があった。
私は私でウェディングの仕事が今までの延長で、定期的に入ってくるかなっていう見込みはあった。
だから、独立して自分達の収入は見込めないかもしれないけど、家賃とかそういうものには充てられるねと。
彼女も実家から通ってたし、私もその頃パートナーがいたのね。
それもあったから、「自分の家の家賃を払わなきゃ。」とか、そういう心配はなかった。
そういう中で独立できたから、恵まれた環境だったなって。
だから、独立して最初の方の仕事は、今までの続きみたいな感じでやっていたよね。
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独立してからの営業
週に7日あって、どのくらい仕事をしていたんですか?
独立して、最初の頃は暇だったよ。日中プラプラしてたもん。
「どこでお茶しようか?」とか「どこでご飯食べようか?」とか、そんなことばっかり言ってた。
私たちの欠点でもあるんだけど、営業ができなかったんです。
だから、仕事が広がっていくのも、口コミだったり、本や雑誌の撮影をして販売されたら、それを見て連絡が来たり、レストランウェディングのヘアメイクさん達の紹介だったり。
そういうつながりでどんどん広がっていくっていうことしかなかった。
「営業しよう。」って思ったことはなかったんですか?
思った。ビラを作って撒いたことはあるんだ。撒いたけど、なんの影響もなかった。(笑)渋谷円山町とか松濤とか、あのへんで。
もっとちゃんと営業するべきなんだろうけどね。今の私だったら、もう少し何かできるかな。でも、最初に独立した時はできなかった。
「何のために花が必要だ」っていうのが、分からなかったからだと思う。
いろんな過程を経て、「花でいこう。」って決めたから、今は人にちゃんと説明もできるし、推すこともできる。
最初に独立した時は、漠然と「お花いかがですか?」みたいな感じだったから、頑張ってやっても響かなかったんだと思う。
「響かない。」っていうことを自分でも思ってたから、営業もできなかったんだと思う。
「いやらしい営業だったら、やっぱりしたくない。」って思ってたの。
日比谷花壇の時の「付加価値がどうのこうの」に通じるものがあるよね。
「はなあわせBigmama」を辞めた理由
「はなあわせBigmama」は会社にしたんですか?それとも個人事業として独立したんですか?
個人事業として独立しました。
最初は本当、2人分のお給料はうまく出なかったよね。
そうこうしているうちに、相棒が結婚して、赤ちゃんを産むことになっちゃったの。
そうしたら、相棒の仕事は取れなくなっちゃったし、私は1人で動かなくちゃいけないし、「Bigmama」的にはピンチでした。
相棒が赤ん坊を産んで少ししたら、今度は私のお腹に赤ん坊が入りました。
でも、そんな状況でも「できるまで仕事をやろう。」と思ってたんだけど、結婚式のブーケの仕事が入って、そのお届けをする前に出血をしたんだな。
出血してても、結婚式のブーケは届かなきゃいけない。だから、ブーケを作ってお届けはするの。
でも、それがあって「やっぱり仕事を続けていくのは難しいんだな。」とすごく思って。
翌日、お医者さんに行って、「入院しましょうか。」と言われ、それを相棒に言ったら、「もう無理しなくていいよ。」って。
相棒は私よりもお腹が不安定で「元気に産まれる」とか「流産する」とか、そういう不安定さがすごく分かる人だったの。
だから「もう無理しない方がいい。仕事も休んだ方がいい。」って。
私も「じゃあ、そうする。」ってなって、それで突然「Bigmama」を閉じてしまいました。
そこで終了しちゃったんですか?落ち着くまで、相方だけで続けていこうとはならなかったんですか?
そこで終了しちゃった。
相方も小さい子を連れて1人で仕事って、やっぱりきついと思う。
「何時に迎えに行かないといけない。」とか「熱があったらすぐに呼び出される。」とかあるから。
撮影の仕事とかあったら、何時に帰れるか分からないんだもん。
すごい夜遅くまで仕事をすることもあったな。
眠くなっちゃって、撮影しながら眠っちゃったりしてたもん。(笑)
独立してすぐは、暇で昼寝ができたけど、そのうち寝たいけど眠れないような状態になったの。
すごいですね。仕事がたくさん来たっていうことですよね。事業としては成功したんですね。
そうですよね。相棒のガーデニング関係のお仕事がけっこう来ていたから。
でも、私のやっていたレストランウェディングの仕事はシステムが変わってきたの。
レストランが結婚式場みたいになっちゃって。
今まではいろんな業者がポコポコ入れたんだけど、「自分のレストランはこの業者だけ!」みたいな感じで囲うようにようになっちゃって。
だから、ちゃんと決まってない業者は入れないようになっちゃったんだな。
私の仕事はだんだん少なくなってきていたんだと思う。
でも、忙しいは忙しかった。撮影の仕事っていうのは、ものを探したり、仕入れたり、準備期間もあるんだよね。
独立していた時は、本当にいろんな仕事をさせてもらったなと思う。
「オレンジページ」とかには、けっこう出たんだよ。
週刊誌の中で「生の花のフラワーアレンジメント特集」とか、花の企画があったの。
そういうところにも声をかけてもらって、何度か出させてもらったりしたかな。
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