仕事とは何の為にするのでしょうか?
生活していく為、家族を守る為、お金を稼ぐ為、自分のやりたいことを実現させる為…
人をそれぞれ自分だけの理由を持ちながら仕事をしていると思います。
今回、アクセサリーブランド「YORTZ」の中田チサ氏に「仕事をする理由と『YORTZ』というブラントに対する想い」というテーマでインタビューを行いました。
中田チサ氏にとっての「仕事をする理由」とは何なのか、仕事に対する考え方や、ここまで諦めずに走り続けてきた理由などを伺っています。
仕事をする意味を考えている方や、これから起業・独立を考えている方の参考になれば嬉しく思います。
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目次
仕事をする理由
何のために仕事をしていますか?
最初は「自分のため」っていうのがありました。
だけど、「YORTZ」を好きになってくれた人がいて、「YORTZ」を追いかけてきてくれて、新シリーズが出るたびに買ってくれる人もいるので、その人が「私が『YORTZ』を好きでよかったな。」って思ってもらいたいですね。
途中でブランドが萎んだら、いつの間にかなくなってしまった過去の思い出みたくなっちゃうので、その人が「あ、また出た!買えた!嬉しい!楽しい!」みたいになってもらいたいと思って仕事をしています。
だから、今の仕事のスタンスは自分3、人7みたいな感じです。
でも、人を喜ばせるために、自分を0にはしたくないので、私も嬉しい、お客さんも嬉しい、お店も嬉しい、営業さんも嬉しい、そんな感じで仕事をしていますね。
事業がうまくいく自信
初めての事業で、うまくいく自信はありましたか?
基本的に私マイナス思考だから、自信はないんです。
私よりいい人はいっぱいいるし、私より可愛いもの作っている人もいっぱいいるんですけど、それでも「『YORTZ』のアクセサリーを買ってくれる人がいる」っていう事がだんだん自信になってきているんだと思います。
「YORTZ」は、まだまだ小さいブランドですけど、それでも買ってくれる人がいる、オンラインショップで写真だけで買ってくれる人がいる、ファンになってくれた人が2回3回と買ってくれる、どんな遠い場所でお店をやっても来てくれる人がいるっていうのは、すごく自信につながりますね。
売上が立たなかった時、「ダメかもしれない。」って思いませんでしたか?
思わなかったですね。
ビギナーズラックじゃないけど、お店に置き始めてから、ある程度早い段階で売れ始めたので。
自分でブランドを始めている知り合いがいると、中には売れてないブランドもあって、「『YORTZ』がどれくらいか」っていうのはだんだん分かってくるので、「あ、大丈夫なんだ。」って。
そうやって、人を見て自信を持つのはすごく良くないことですけど、正確な事業の判断としては、「『YORTZ』は大丈夫なラインだな。」って思いました。
あとは元々があっけらかんとしているのかもしれないですけど、別に1ヶ月ダメでも次の1ヶ月で盛り返せばいいわけだし、1年目がダメでも2年目で盛り返せばいいし、2年でも盛り返せなくて、さらに先の3年目もダメだったら辞めればいいっていうのがありました。
正しいかは分からないけど、借金してまでブランドを続けようとは思っていないので、10年20年やって盛り返せなければ、そのブランドとか商品が求められていないっていうことですよね。
それはもうブランドを辞めるか改めた方がいいと思うので、別に1ヶ月で悪かったら辞める、2ヶ月で悪かったら辞める、半年で悪かったら辞めるっていうのはあんまりなかったです。
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「全く売り上げが上がらなくても、この月日だけはやろう。」っていうのはありましたか?
あんまりそういうのはなかったです。
ビギナーズラックじゃないですけど、最初の方に結構売れてしまったので、「まだできる、まだできる。」みたいな感じでしたね。
それがあって、あんまり「背水の陣」的な考え方はしていなかったです。
いろんなパターンがあると思うんですけど、私は最初の方で売れたので、それがどんどん続いている感じですね。
不安が先立って、途中で諦める人がいると思うんですけど、どうすればいいですかね?
諦めて他のことをやればいいと思います。
私、アクセサリーでは今のところ順調に進んでますけど、6年間続けた美術の方がそんな状況だったんですよ。
うまくいかない、お金にもならないっていう。
でも、続けてきたプライドと、続けてきた履歴があるから、「辞めるのもな。」って思ってたんですけど、そうやって思って悩むんだったら、辞めた方がいいんじゃないですかね。
っていうのは、あとあとになって思います。
辞めることは勇気がいて、私も1年間悩んだんです。
それが短いかもしれないけど、辞めることもやっぱり大事。
そんな悩んでいる人の商品を買いたくないじゃないですか。
「辞めようかな、売れないな、でも新作作らなきゃな。」って思っている人の新作とかを見ていると、やっぱり分かると思うんですよ、お客さんは。
お客さんは「それに何千円出したら、いかに自分はかわいくなれるか。」って思って買うのに、そんな中途半端な気持ちで作ったものには心が動かないので、そこは見極めた方がいいと思います。
私は本当は絵をやりたくて、売り上げにつながらなくて辞めたんですけど、実際に辞めてアクセサリーをやって、周り回って人のCDジャケットを描いたり、絵の仕事ができているんですよね。
自分の「アクセサリーを作りたい。」っていうスキルを活かせば、違う手段になったとしても、自分さえつなげて頑張っていけばつながっていくと思うので、思い切って辞めることも人生としては大事だと思います。
今まで5年10年やってきた履歴よりも、この先の人生40年50年あるとして、本当に中途半端な気持ちで続けていけるかなって。
そっちを考えた方がいいと思います。
私はその時に中途半端な気持ちでやりたくなくて、40年絵を描いていけるかなと思ったら、無理だったので辞めました。
そうしたら、意外とできました。(笑)
この事業を諦めようと思ったことってありますか?
アクセサリーはないですね。
でも、この先もしかしたら来るかもしれない。
お客さんが「YORTZ」に飽きてきて、ニーズに応えられなくて、バイヤーさんにも伝わらなかったら、いずれ諦める時が来ることもあるとは思いますね。
それでもやりたかったらやるし、やりたくて辞めるのと、やりたくなくて中途半端で辞めるのって違うと思うんです。
それを覆せるくらいの自信とアイディアがあれば続けるけど、また美術の時みたいになぁなぁな気持ちになってくれば、それはもうお店にもお客さんにも失礼だし、「YORTZ」というブランドとしても失礼になってくるので、辞めると思います。
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「YORTZ」というブランドの今後
今後はどうしていく予定ですか?
よく「店舗を持たないんですか?」って言われるんですけど、店舗は持ちたくないんです。
店舗を持つとクレーム問題だったり、「バイトの人が風邪ひいて休んだらどうしよう?」とか「売り上げがテナント基準に満たなかったらどうしよう?」とか、気にしなきゃいけないことが増えるからです。
私、もともとはアクセサリーが作りたいはずなのに、そんなに他のこといっぱい考えられないっていう。
そこに、例えばアシスタントや社員が入ったとしても、やっぱり最終判断を下すのは私なので、そんなにたくさんの事を気にしてるんだったら、そのエネルギーを物を作る事に費やしたいって思って。
他のことより、作る事にだけエネルギーを注ぎたいです。
例えば、経営をパートナーにお願いして、自分は制作だけに没頭できる場合は?
それでもやっぱりないですね。
たぶん「経営だけやれる。」って言っても、商品のラインナップとか顧客層とか、次にこういう展開を考えているっていう、私の頭の中を全部分かってくれるっていうわけではないので、そこでやっぱりぶつかり合いは出てくると思うんです。
ぶつかり合うんだったら、そのエネルギーを作るエネルギーに使いたいです。
だから、リミテッドショップが一番ちょうどいいと思っています。
お客さんに実際にお会いしたい気持ちがあるので、期間限定ショップはだいたいお店にいるんです。
それぐらいがちょうどいいですね。
今は1人でやっているんですよね?
あとは、リミテッドショップ中には店員さんを友達にお願いしています。
やっぱりレジとかお金を扱うので、友達がよかったんですよね。
知らない人だと、もしも何かあった時に困るし、何か聞きたいことがあっても遠慮して聞けないことがあったりするなら、気兼ねなくポンポンやりあえる方がいいなと思って。
あとは、元お客さんもいますね。
元お客さんで、お店に来てくれて仲良くなって、友達みたいになって、もともと「YORTZ」から入ってきてくれているから、商品が好きでいてくれて、商品の事もよく知っているので、「今度お店やるんだけど、店員さんやってくれない?」「え、やるよ、やるよ!」みたいな感じでお願いすることもあります。
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