フェスのオフィシャルカメラマンになるには、どうすればいいのでしょうか?
今回、カメラマンとして独立した齋藤剛志氏に「音楽フェスのオフィシャルカメラマンになったきっかけとは」というテーマでインタビューを行いました。
感動した「朝霧JAM」の写真でWebサイトを作ったエピソード、そこから「フジロック」や「ライジング・サン」などのフェスも撮影するようになった過程、フェスの写真に対する想いなどを伺っています。
フェスが好きな方や、フェスのカメラマンになりたいと思っている方などの参考になれば嬉しいです。
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フェスのカメラマンを始めたきっかけ
フェスのカメラマンって、どういう流れで始めることになったんですか?
最初、アシスタントをやっていた時に、プライベートで自分でも写真をずっと撮ってたんだよね。
レイヴパーティーとか、山奥のキャンプ場でやる、すごいちっちゃなイベントがあって、そういうのが好きで、友達とよく行ってたんですよ。
その時、クラブとかも好きでね。要は、ダンスミュージック的な音楽が好きだったの。
レイヴパーティーっていうのも、そういうエレクトロのダンスミュージックを、朝までずっとガンガンやるような感じなんだよね。
そういうところに行って、参加してた人達と仲良くなったりするんだけど、そういうレイヴパーティーのシーンの写真を撮ってたんですよ。
それで、ある時「フジロック」を主催している「スマッシュ」っていう会社がやってる「朝霧JAM」っていうフェスに遊びに行ったんですよ。お客さんとして。
すごい素晴らしくて、いい雰囲気のフェスだったんだよね。
「すごくいいフェスだな。」と思って感動して、お客さんとかフェスの雰囲気の写真を撮ってたの。
フェスで撮影した写真をどうしたんですか?
それで、「朝霧JAM」に一緒に行った友達がWebのデザイナーをやっていて、ホームページを作れたんだよね。
その友達も「朝霧JAM」にめちゃくちゃ感動していて、僕も感じたままを撮っていて、現像が上がってきたら、写真があまりにも良かったから、「じゃあ、これWebで写真サイトを勝手に作っちゃおうぜ!」って言って、写真サイトを作っちゃったんですよ。
「ASAGIRI JAM PHOTOGRAPH」っていう。
これはフェスに出演しているアーティストの写真じゃなく、ドキュメンタリーみたいな感じで、自分がフェスで体験した、お客さんだったり、出会いだったりを撮影した写真なんだよね。
旅のドキュメンタリー風なやつ。
荷物を車に積むとか、フェスに向かう移動中の高速とか、富士山が見えてきたとか。
そういうロードムービー的な感じで写真サイトを作ったら、主催のスマッシュがそのサイトを見てくれて。
スマッシュも「フェスとはそういうものだ。」って思っていて、そこがうまくリンクして、「ぜひ朝霧JAMの公式の写真サイトとして、リンクを張らせてほしい。」みたいな連絡がきたんですよ。
そこがきっかけですね。
それで色々話していって、最初はメールだったんだけど、そのうち会って、「次の年の朝霧JAMから、公式にカメラマンとして入ってほしい。」って言われたんだよね。
アーティストをまったく撮らないフェスのカメラマン。そこで誕生したみたいな感じかな。
それで、その次の年から「フジロックも同じ感じで撮ってほしい。」って言われて、フジロックも撮るようになったっていう流れ。
フェスの写真に対する想い
なぜお客さんの写真を撮ろうと思ったんですか?
前々から思ってたのが、あの頃のフェスの写真って、アーティストの写真ばっかりだったんですよ。
ネットとかに載ってる「今回のフェスはこんな感じでした!」っていうレポートが、フェスの全景写真が1枚ボンってあって、アーティストの写真とレポートだけだったんですよ。
そういう写真を見てたんだけど、僕はフェスってやっぱり、アーティストはとんかつ定食で言う「キャベツ」みたいな存在だと思うんですよ。
だって、とんかつ定食に「キャベツ」がなかったら寂しいじゃないですか、「とんかつ」だけって。
だから、そのフェスを形取るっていうか、盛り上げる役割。フェスには絶対必要だけど、主役ではないなっていう感じ。
主役はフェスに来ているお客さん。
フェスの全体の雰囲気を作るのはお客さん達だから。
夏祭りもそうじゃないですか。神輿が主役っちゃ主役だけど、そこにいるみんなが集まって、どういう人がどう熱気を作るかっていう、そこがメインだなと思うんだよね。
そういうのを感じてたから、フェスに来ているお客さんのいい雰囲気とかを切り取ってたんだよね。
確かにお客さん撮ってる写真って少ないですよね。
こういうのとかさ。輝いてるんですよ、みんな。
最近そういう写真も増えてきて、意識してないけど、先駆者的なのかな、俺って?(笑)
ラッキーだよね。でも、フェスと出会ったからまだやってるのかな、カメラマン。出会ってなかったらわかんないな。
カメラマンをやってなかった可能性も0でない?
それは分からないけどね、出会いだから。だから、今は楽しいね。
ビジネスとしてまったくこんな風になるとは考えてなくて、ただやりたいからやった感じなんだよね。
未来の展望とか考えるじゃない、ビジネスだったら。
「今、こういう写真がないから、これはいいんじゃないか。」とか「これをこうして段取りを組んで、こういうところにプロモーションして、何年後かに市場がこうなって。」って、そういうのまったく考えてないから。
でも、こういう風になるっていうのが、面白いなぁって。
ビジネスマンっていうか、起業家みたいなのにはまったく向いてないような気がする。
たまたま好きだったことが、たまたま隙間でこうやってなったみたいな感じだよ。
それがすごいんじゃないですか!
そういう匂いを感じるんだろうね、たぶんね。いい匂いがするのかもね。
だから、こういういい場所に出会うのも決まってないじゃない。
俺が今ここにいないと、この写真は撮れない事であって、タイミングが合わなければ、ここにはいないかもしれない。
そういうのもすごい出会いだし、それも嗅覚というか匂いなんだろうなって。
いい匂いのするところに行くっていうのはあるんだろうな。「こうすればいい。」とかいうのは、まったくないんだけど。
本能的にそういう匂いを感じたところに出会いはいっぱいあるんだよなぁ。
そういうのって大事だよね。人間的・動物的感覚?
「これはヤバいんじゃない?」みたいなのは、だいたいヤバい。だから、熊本にも引っ越したのかも。
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フェスのカメラマンとしての広がり
それで、どうなっていったんですか?
最初は「朝霧JAM」と「フジロック」だけやってたんだけど、僕がどうしても撮りたいフェスがあったんだよね。
北海道でやってる「ライジングサン」っていうフェスだったんだけど。
その時の「ライジングサン」のプロデューサーとスマッシュの人がつながってて、「紹介してほしい。」ってスマッシュに頼んで、最初に「フジロック」を撮った年だったかな?
ライジングを撮らせてもらえたんだよね。
最初はノーギャラでチケットだけくれて、お客さんだけしか撮らないから、普通にチケットもらってお客さんとしてフェスに参加して。
写真をばーって撮って、それもすごい良かったんだよね。
「ありがとう。」っていう感謝の気持ちで、その時の写真集を自分で一冊だけ作って、「WESS」っていう「ライジングサン」をやっているプロデューサーに送ったんですよ。CDのデータと写真集を。
そしたら、超喜んでくれて、「素晴らしい!」みたいな。
それで、「次の年からオフィシャルカメラマンで入ってくれ。」ってことで、ライジングのカメラマンになって、今年で10年目ぐらいかな。
フジロックも今年で12回目くらい。
「フジロック」って何回目なんでしたっけ?
19回目。来年で20周年。
記念すべき年ですね。DVD見ましたよ!
白いケースに入ってた?そのリーフレットの写真、全部僕の写真。
フジロックのDVDだよね?それ、「Photo by 宇宙大使☆スター」だよ。すごい使ってくれて。
これ、毎年出してるフジロックのフリーペーパーなんだけど、今回もすごい僕の写真を使ってくれて。
フェスのカメラマンとスタジオ勤務の両立
スタジオに勤めながら、フェスのカメラマンをやっていて、大丈夫だったんですか?
契約社員かな?一応、社員だったけど、大丈夫だったよ。
堂々とはやってないけど、大丈夫だった。
あとね、僕がフェスのカメラマンをやってるっていうことで、仕事がけっこう来てたんですよ。
ディレクターとかデザイナーをやっている人って、フェスが好きな人が多いんだよね。
だから、「フジロックのカメラマンやってます。」って、こういう写真を見せると、「いいじゃん、いいじゃん。」って言ってくれるんだよね。
それもあって仕事が来ていたっていうのもあったんで、スタジオ的にも「やめろ。」とは言えなかったんだろうね。
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2015年のフジロック
趣味はありますか?
写真… じゃないな。
焚き火!焚き火が好きですね〜。
棒ドリルっていうのがあるんですけど、それも自分で作ったりして、そこから火おこしをやったりして。
フジロックは行ったことない?
フジロック、行ったことないんです。行きたいんですよ。
僕が行くのは7月22日〜27日ぐらい。もしよければ是非。
いい写真だな、本当。
「シーナ&ロケッツ」のシーナさんが亡くなったじゃないですか?
すいません、わかりません…
あ、分からない?そっか。(笑)
今度のフジロック、「シーナ&ロケッツ」がオファーされてたのね。
でも、シーナさんが亡くなっちゃったんだけど、まだ載ってるのね。
「シーナさんの代わり、誰がやるんだろう?」って話になってて、聞いた話では「『シーナ』つながりで椎名林檎がやるんじゃないか?」って。
ちょうど出るから、椎名林檎も。
そうなんですね。ちなみに、フェスってどういう服装がいいんでしょうか?
雨具とか足元とかは、大事にしてるかな。
トレッキングシューズとか履いていくよ。
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