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バブルの就職活動と商品先物業界に入った理由とは

バブルの就職活動と商品先物業界に入った理由

商品先物業界とは、どんな業界なのでしょうか?

今回、人材コンサルタントとして独立した安田剛氏に「バブルの就職活動と商品先物業界に入った理由とは」というテーマでインタビューを行いました。

バブル期の就職活動とはどんなものか、就職活動で商品先物業界を選んだ理由、商品先物業界についてなどを伺っています。

商品先物業界に興味がある方や、これから就職活動を始める方の参考になれば嬉しいです。




バブル期の就職活動とは

バブルの就職活動

大学3年になって、就職活動をしたんですよね?

私が就職したのは1991年なんですね。

1991年っていうと、田中さんはまだ小学生とか中学生ですよね?

じゃあ、「バブル」っていうのは全く未知の世界ですね。

1991年っていうのは、バブルの最後の方なんですよ。

1987、88、89年っていうのは、バブルが盛り上がっていた時ですね。

1991年っていうのはバブルが終わりに向かっていて、株価も「パカーン!」って下がったんですよね。

その年に就職活動をしたんですけど、就職活動中は企業にまだバブルが残っていたんです。

今の時代は考えられないですけど、就職活動をしている学生を接待する時期だったんですよ。

ありえないですよね。

学生は勘違いしちゃうんですよ、そんなことされると。

当時は静岡から東京に、就職活動で企業訪問をしていたんですね。

もっと遠い人もいるわけですよ、鹿児島から東京に来る人とか。

その頃はまだバブルも残っていたので、交通費を企業がどんどん学生に出してくれるわけです。

それで本当に要領のいいやつになると、1日に説明会や企業訪問を何社もわざと重ねて入れて、交通費と宿泊費を全部もらうんです。

「1回就職活動で東京に行ったら、10万稼いだ。」とか、わけのわからないことになってるわけですよ。

バブルは、そんなおかしな時代だったんです。

すごいですね、バブル。

それで、バブルと言えば「証券」。

今じゃおかしな話ですけど、当時新卒で入ったまだ22歳の女の子ですよ。

4月に入って夏のボーナスが7月に出るわけじゃないですか。

まだ入社して2〜3か月で、研修期間が終わったような女の子に入るボーナスが、立つ感覚って分かります?

100万円を超えるわけです。

帯封がついているんですよ。

だから、おかしくなるんですよね、人生。

「当然、ボーナスっていうのはそれぐらいもらえるもんだ。」って勘違いしちゃって、豪遊するのが普通だったんです。

ブランド品をバンバン買うのが当たり前になっちゃった女の子が、3年ぐらい経ってバブルが弾けた時に、生活を変えられないわけですよ。

生活を変えられないと、歌舞伎町に出入りしたりするわけですよ。
そういう時代ですよね。

その時代はその時代で大変ですよ。

今じゃ考えられないですね。(笑)

その頃、住んでたのはどこだったかな?

新宿の街に終電がなくなった後、大変なことが起こるんですよ。

今はタクシーがズラーッと並んでますよね、お客さんがいないから。

当時はタクシーがつかまらないんですよ。

みんなタクシーの争奪戦なので、あの手この手でタクシーを捕まえようとするわけです。

どこに歩いて行ったらタクシーが捕まるかを調べるのが当たり前でした。

タクシー捕まえるために「へーい!」って言って、一万円札をビラビラさせている人とかがいるわけです。

そんな人が、新宿の靖国通り沿いにいっぱいいた時代。

本当に人間がおかしくなる。

バブルを経験している人達は、「バブルよ、もう一度!」って思っちゃったりするんですよね。

でも、今みたいに低迷している右肩下がりの時代が続いてくると、もはやバブル後遺症みたいなものですよね。

私達は入った瞬間から下がりっぱなしですから。

ただ、入った時にはまだバブルが残っていたわけですよ。

だから、上の人達や先輩はバブリーな人達ばかりでしたね。




就職活動で商品先物業界を選んだ理由

就職活動で商品先物業界を選んだ理由とは

就職活動はどうでしたか?

私は、さっき言ったように、ニュースとか数字が好きだったんですよね。

だから、「日常の社会の動きに連動している仕事がいいな。」と思ったわけですよ。

その中で、大学は法学部って言いましたけど、専攻したかったのは国際政治だったんですね。

でも、国際政治を専攻しようと思っていたら、私が学部に上がる時に国際政治の教授が転勤したんですよ。

そして、国際政治の後任がいないという。

「おい!」みたいな。(笑)

それで、国際政治が取れなかったんですよね。

しょうがないので別の専攻を選ぼうとした時、当時ちょうど話題になってたテーマが「外国人労働者」だったんです。

「国際政治がなくなったから、学部でどこか関係するところがあるのかな?」と思ったら、「労働法」だったんです。

それで「労働法」を専攻することにしました。

なので、卒論は「外国人労働者」なんですね。

それで「日常の政治経済に関係があることで、毎日の仕事で役立てることは何なのかな?」って考えた時に、当時は証券業界が花盛りなんですね。

就職活動の時は、国立大学を出て、法学部を出ていたので、それなりのところには入れちゃうわけです。

でも、その時「注目されてる業界」っていうのが、つまんなく見えたんですよね。

同じ大学の経済学部で、「俺より遊んでたよね?」っていう人間が、「日興証券」とかに入っていくわけですよ。

「ありえないよな。入ってどうするんだ?」って思っていて。

そういうみんなが「わー!」ってなっている業界に行くのが嫌で。

人が行ってない業界に行きたくなる、どこかへそ曲がりなわけです。

就職活動をやって、どこの会社に入ったんですか?

入った会社は投資の会社で、投資の営業をやっていました。

「商品先物業界」っていう業界なんですけど、分かります?

商品先物業界は、言い方悪いですけど、国立大学から行く人間は普通いないところなんですよ。

国立大学から新卒で行くっておかしいんですね。

まぁ、おかしいんですけど。(笑)

それで、商品先物業界を受けたんですか?

就職活動に関しては、今はみなさんネットですけど、当時は冊子なわけです。

求人も分厚い冊子があって、会社の求人票を見ながら探していって。

それで冊子で調べていた時に、たまたま証券会社の横に商品先物業界が並んでいたわけです。

「国際相場がどうで、国際政治がどうで。」って書いてあると、私の中で「国際政治」っていうキーワードが「ピッ!」って入ってくるわけですよ。

「金・銀・プラチナは、世界のどこの鉱山でどう取れる。」

「こういう技術開発があって、こういう技術でプラチナの市場が伸びた。」

「銀でどういう製品ができて、市場が急に伸びたとか減った。」

そういう情報が、市場の上げ下げに大きく連動すると。

商品先物業界は、日本では証券より下だけど、アメリカでは上なんだと。

その時、上場企業が1社もないんですね、商品先物業界って。

でも、就職活動をしていた時に、商品先物業界でメジャーだった何社かは、みんな上場を目指して準備中だったわけです。

これから何かいいことありそうな気がするじゃないですか。

商品先物業界自体が伸びそうな感じが。

「人が大手の会社に行っている時に、これからっていう業界に入る方が、人生楽しそうじゃないか。」って思うわけですよ。

それで、「商品先物業界が面白そう。」って思って、商品先物業界を受けだしたら、面白くなっちゃったんです。




商品先物業界とは

商品先物業界

なんで商品先物業界の会社に入ったんですか?

証券会社が当時、花形だったんですね。

でも、「商品先物」って日本では下に見られている業界なんですけど、アメリカだと証券よりも上に位置するんですね。

日本だと銀行、証券、商品先物の順なんですけど、向こうは商品先物が上なんですよ。

アメリカっていうのは、世界中の商品の相場をアメリカの市場で扱っているので、各業界のトップ企業が集まっているんです。

そこで商品の相場が決まっていくのは自然な流れですよね。

東京の市場は商品をそんなに扱っていないわけですよ。

証券会社は株式を扱って、各会社の業績が上がればいいので、右肩上がりの時はそりゃ繁盛しますよね。

ところが商品先物の業界って、その商品の相場を東京の市場が決められるような力を持っていなかったんです。

アメリカのシカゴにある、「シカゴ・マーカンタイル取引所」っていう取引所が一番力を持っていたわけですね。

その他にロンドンやシンガポールの取引所が力が強かったわけです。

そんな中で東京の商品先物市場の力はあんまり強くなくて、一応金・銀・プラチナもあったんですけど、取引扱高が小さかったんです。

ただ、商品先物取引の何が魅力だったかっていうと、国際市場と連動する仕事なわけですよね。

貴金属、トウモロコシや大豆とか天候相場に関わるもの、食の根幹に関わるものなので、相場としては大きいと。

あと、ゴムとかもあるんですけど。

ちょっと業界用語的なんですけど、「仕手戦」とかいうのがあって。

「仕手戦」?

ようは本当の売り買い、需要と供給に伴う売り買いじゃなくて、その場で戦う人達がいるわけですよ。

「わざと上げ相場を作る。わざと下げ相場を作る。」っていう、その「仕手戦」を仕掛けるような人達がいるんです。

そういう小さな市場で、単位が小さいと何十億程度で動かせるわけです。

日本だと小豆。

北海道の小豆があって、小説で「赤いダイヤ」っていう本が出てるのは知ってます?

ずいぶん昔の本なんですけど。

知らないですよね。

小豆相場でのドラマを小説で描いた「赤いダイヤ」っていうのがあって、商品先物業界ではすごいメジャーな本なんです。

あとは「生糸乾繭」っていう、ようは糸ものですね。

糸ものの市場もあって、「前橋乾繭」とかっていうのもあるんです。

糸ものも市場が小さいので、仕手戦で大手が入ってきて、何十億ってかけてると急に「パーン!」って上げて、「パーン!」って下げてみたいな事をされるんです。

だから危ない市場なんですね。

「商品先物業界」ってそういうところなんです。

ちなみに、他の業界も何社か受けたんですか?

そんなに受けてはいないです。

何社かは受けましたけど、覚えてないくらいですね。

「国際政治経済に関係するような業界」っていうと、商社が出てくるんですけど、商社もメジャーじゃないですか。

昔からある業種・業態だし、「やんちゃな業界に行きたい。」っていう気持ちがあったんでしょうね。

「チャレンジしているような業界がないかな。」と思ってた時に、商品先物っていう業界がそう見えたんです。

金のたまごのように。

それで、商品先物業界に入って、丸2年いましたね。

面白かったですよ。

商品先物業界って、世の中からは「悪徳な業界」っていうような見られ方をしていますけど、市場としては必要な市場なんですね。

でも、商品先物業界の中にはアコギな会社もいっぱいあります。

商品先物業界に入ってみて分かりました。

就職活動をして入った商品先物業界の会社

入った会社はどうでしたか

入った会社は、どんな会社だったんですか?

私の入った商品先物取引の会社は、商品先物業界の中では老舗の会社なんですね。

大元が福岡の会社なんです。

会長さんが優秀な人で、商品先物業界を代表するような人だったんです。

でも、社長がボンクラだったんですね。

その会社が商品先物業界にしてはゆったりしてたんですよね、会社の雰囲気が。

就職活動中に感じてたんですけど、どこか穏やかだった。

その穏やかな感じに好感を持ったんです。

その穏やかな雰囲気と、元が福岡っていうのに親近感を持ったんです。

あと、商品先物業界では東京商品先物取引所の中で扱っている商品を、全部扱える看板を持っているかどうか。

免許を持っているかどうかっていうのは、会社によって違ったんですよ。

全部の看板を持ってたのは、当時商品先物業界の中で2社しかなかったんですよ。

そのうちの1社だったんですね。

それで、「ここかなぁ。」と思って、そこの会社に入りました。

入ってからも、人の空気はまさによかったんです。

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