会社とはどのように倒産していくのでしょうか?
今回、人材コンサルタントとして独立した安田剛氏に「オーバートークが問題になった営業方法と会社が倒産する過程」というテーマでインタビューを行いました。
オーバートークが問題になった営業方法とグループ会社で起こった殺人事件、「役務付き契約」の法的整備と信販会社の離脱、社会保険の停止と給料の未払い、会社が倒産していくプロセスと残務処理について伺っています。
会社が倒産していくプロセスに興味がある方や、これから起業・独立を考えていて、会社の経営を学びたい方の参考になれば嬉しいです。
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問題になった営業方法と殺人事件
なぜ業績が上がっていた会社が、倒産してしまったんですか?
会社の業績が上がっていった時に、売り方が問題になったんですね。
さっきお話ししたオーバートークです。
同じグループ会社の中から辞めたバイトの子がリークしたんです。
しかも、ご丁寧に営業トーク集まで持ち出していて、ワイドショーで取り上げられた事がありました。
「こういう悪徳業者がいる!」っていう話で、ニュースになるわけです。
ニュースになると、だんだん営業トークで言っていた値段が上がるんですよね。
「最低10万円は稼げますよ!」みたいな。(笑)
「どこの会社の営業トークだ?」っていう感じですけど。
確か会社名はテレビでは言ってなかったと思います。
リークした人間も、よくテレビで出てくる首から下は出しながら、話をするわけです。
ワイドショーでガンガン叩かれた時期もありましたね。
ワイドショーって怖いですね。
あと、全然関係ないんですけど、グループ会社で殺人事件もあったんですよ。
しかも、同じビル。会社の場所は言わないほうがいいですね。(笑)
取材も結構来ていて、さっきの顧問さんもテレビに出ていました。
殺人事件は、当時かなり話題になって、週刊ランキング2位になっていました。
そんな風に、当時けっこうメディアでは問題になりました。
「役務付き契約」の法的整備と信販会社の離脱
メディアで問題になって、会社が倒産したんですか?
その後、「『役務付き契約』っていうのはどうなんだ?」って流れになっていき、どんどん法的整備がされていきました。
最終的に「役務付き契約」は「NO」になったんですよね。
「教材販売は教材販売、仕事は仕事」という風に、商品を分けなきゃいけない。
その2つが繋がっているような契約書の文面になってたら、一切「NO」になってしまったんです。
その法律ができてどうなったかっていうと、信販会社がそういう契約をしていた場合、信販会社にとばっちりがいくようになったんですね。
そうすると、信販会社がその契約から降りたんですよ。
信販会社からすると、この業界はドル箱だったわけです。
バンバン伸びるし、売れますからね。
離脱率に対して、払い続ける人の比率を考えたら、歩止まりとしてよかったんですよ。
信販会社が降りていくと、教材販売の営業が成り立たないんですね。
費用を実費で払うしかないっていうことですもんね。
そうですね、何十万というお金を実費で。
私が最初に入った時は40万円だったんですけど、7〜8年経って最終的には、70万円くらいになってましたからね。わけ分からないですよね。(笑)
資格や仕事に関するノウハウは溜まりましたし、こちら側も実績を積んでやれることは増えましたけど、「それが正当な値段か?」って言ったら、甚だ怪しいですよね。
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徐々に倒産していくグループ会社
それで、どのように会社が倒産していったんですか?
そうすると、新しくできた会社、体力がない会社から倒産していくんですね。
信販会社が降りたことで営業ができず、資金がショートしていくので。
そうすると、役務の部分は全部残るので、在宅スタッフの人達の勉強のサポート、資格を取るためのサポート、取った後の仕事の提供のサポートは残るわけです、契約上。
倒産した会社の分は、それを引き継いだ会社が受けなきゃいけない。
1社目の会社は社長との関係で、何も一切受けつけなかったんです。
だから、2社目の私がいたところに、役務の部分の仕事が全部回ってくるわけです。
3社目、4社目、5社目の仕事がどんどん入ってくると、現場の人達はただでさえいっぱいいっぱいなので、疲弊していくんですよ。
スタッフが疲弊していった後は、グループ全体が倒産に向かっていくステップですけどね。
会社が倒産に向かっていくステップなんて興味あります?
社会保険の停止と給料の未払い
会社がどうやって倒産するのか、ちょっと興味ありますね。
会社が倒産する過程を聞いても、嬉しくはないと思いますけど。(笑)
スタッフが疲弊していく中で、会社の機能がだんだんと止まってきて、まず最初に社会保険が止められたんですよ。
社会保険料の未払いで。半年未払いだったんですね。
会社の規模が大きくて人数が多いので、「社会保険の未納」って結構金額がデカいんですよ。
社会保険事務所っていうのは「未納率」っていうのをチェックしているんですけど、ようは「完全死刑宣告」って言うんですかね。(笑)
「オタクは会社として認められない。」と。
「社会保険離脱」っていう。
それで、「社会保険に加盟できない会社」っていうレッテルを貼られました。
今まで社会保険を払ってもらってると思ってた社員の人達が、いきなり会社から「社会保険はなくなりました。」っていう宣告を受けるわけですよ。
「えっ!?」ってなるわけじゃないですか。
ちゃんと勘のいい人達は、早々に会社を辞めていくわけですね。
それが、気のいい人達は会社を辞めずに頑張っちゃうわけです。
社会保険に入れない会社って、ヤバいですよね。
その後はどうやって会社が倒産していくかというと、資金繰りが回らなくなってきて、上から順番ですけど、給料が現金支給になってきます。
資金繰りが回らなくなってくると、給料日に全員の給料分が手当てできるかどうかが、ギリギリまで分からない状態になってくるんです。
その後は現金支給がだんだん分割払いになってきます。
それが課長以上の役職だったら、一応上の話として扱われるんですけど、その下は現場の人達ですから、ついに「給料が払えるか分からない。」っていう日が来るわけですよ。
ギリギリまで分からないので、事前に言うにも言えないわけですよ、みんなに。
もう忘れもしないですね。
「給料が給料日に振り込まれない」っていう現実に突き当たった時に、みんなから掴みかからぬくらいのクレームの嵐ですよ。
みんな生活が掛かってますからね。
20歳前後の若いバイトの子達がいたんですね。
電話営業なので、テレアポのバイトだったんですけど、時給のいい仕事だったんですよね。
彼女達の生活は会社から支払われていたそのお給料によって、成り立っていたわけですね。
給料日が25日だったんですけど、カードの支払いが27日のところって結構多いじゃないですか。
そうすると、給料が振り込まれないことによって、自分のカードにバッテンがつくわけですよね。
それに対して「どうしてくれるんだ!」っていう風に言ってきたんですよ。
「そうだよね。」っていうしかない。何の申し開きのしようがない訳ですよ。にっちもさっちも行かない。
そんな風に問題はどんどん山積みになりながら、だんだん人はいなくなり、仕事は増えていく一方。
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会社の倒産と残務処理
それで、最終的にはどうやって倒産したんですか?
1社目の会社は、最後まで「我関せず」でいましたけど、そういう訳にもいかなくなってきて、最終的には全ての会社が倒産します。
それでも何人かの人は残って、そんな状況でもなんとか残務をやってくれる人がいたんですよ。
すごいですね、その人達。
自宅から通っているとか、生活に支障がない人じゃないとありえない訳ですけどね。
それで、私は1社目の会社と、ずっと敵対関係にあったんですよね。
何かにつけて仕事のしわ寄せを押しつけられてましたし、コンサルタント事業部のクレームも私のところに来ていたんです。
社長から連絡が来て、「悪いけど、こんなことが問題になっていて、対処してくれないか。」って仕事を振られていたので、「冗談じゃない。」と思っていた相手なんですね。
なので、「1社目の会社と心中する気はない。」って思っていました。
「自分と一緒に頑張ってきた人達が最後の区切りをつけるところまでやったら終わろう。」と、半年ぐらい無給で残務処理をずっとやってたいんです。
大丈夫なんですか、生活の方は?
残務処理をしていた半年間の間は無給なんですけど、会社が法的に倒産すると、8割ぐらいは公共の機構から後々補填されるんです。
「法的に完全に倒産」っていう状態にならないと出ないですけどね。
そういう仕組みがあったので、後々は大丈夫だったんですけど、働いていた半年間は給料がなかったので、キツかったですね。
でも、逃げられないですからね、立場的にも。
それで生活できなくなったらアウトですけど、一応そこの会社ではそれなりの給料をもらっていたので、貯金を切り崩してなんとか生活できた訳です。
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