起業する際に日本政策金融公庫から融資を受けるのは難しいのでしょうか?
日本政策金融公庫に限らず、起業する際に融資を受けるのは難しいイメージがありますよね。
今回、広告代理店を起業した田原広一氏に「起業する際に日本政策金融公庫から融資を受けるには」というテーマでインタビューを行いました。
起業する際に融資を受けるリスク、人件費として受ける融資、日本政策金融公庫で融資を受けるには、融資を受けた後のサポート事業などについて、お話を伺っています。
これから起業する方や、日本政策金融公庫から融資を検討している方の参考になれば嬉しいです。
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起業する際に融資を受けるリスク
起業する際に「融資を受けること」ってリスクではないんですか?
起業する時に融資を受けるリスクの考え方は2つありますよね。
1つ目は「起業する時に融資を受けて借金を背負う」というリスク。
2つ目は「起業する時に融資を受けず、ビジネスで失敗して倒産し、無一文になる」というリスク。
「前者と後者、どっちがリスクか」っていうと、融資を受けずに無一文になるまで売上が上がらなかった時の方がリスクですよね。
融資を受けない方向でいけば、そのビジネスで失敗したら倒産じゃないですか。
自分に自信がなければ「起業」ってしないと思うので、ある程度成功する前提で起業しますよね。
でも、半年や1年でビジネスが成功するかは分からない。
ただ3年、4年と続ければビジネスが成功するかもしれない。
そのために「最悪、1年2年は売上がなくても大丈夫だ。」っていう安心を得るために融資を受けるんです。
なるほど。リスクを回避するために融資を受けるんですね。
もちろん、無一文になった時に「だめだ。辞めちゃおう。」って、ビジネスを辞めちゃえるのであれば、それはそれでいいと思います。
でも、起業する時はある程度の覚悟を持って起業すると思うので、「絶対にビジネスをでっかくするぞ!」っていう意気込みがあるならば、融資を受けて起業した方がいいと思います。
ビジネスを諦める前提で起業するなら、融資を受けない方がいいと思いますけど。
不安になりますからね、お金がないと。
あとは、融資を受けたお金って「500万円で5年以上の返済」なんですけど、返済期間を6年や7年にしてもらったら、月々の返済額なんて大した額にならないので。
月に5万円、6万円くらいの返済額なら、最悪バイトすれば返済できますしね。
しかも、起業する時って、もともと仕事をしていたはずなので、何かできるはずなんですよね。
自分で直で仕事を受けることもできれば、孫請け的な仕事でもいいと思うので、そういう食い扶持があった方が起業はしやすいですよね。
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人件費として受ける融資
例えば、起業する際にたいした初期投資がかからないとします。そういう時に「生活費を融資してもらう」ということもできるんですか?
見せ方ですね。
「生活費を融資してもらう」っていう言い方はしないですけど、自分の給料は必要ですし、バイトの給料が必要かもしれない。
たとえば、自分の給料が月30万円だったとして、30万円×6ヶ月で180万円。
最初は従業員を1人も雇用しない予定でも、もしかしたら雇用するかもしれないじゃないですか。
融資を受ける時は、従業員を雇う前提にします。
実際には従業員を雇用しなくても「融資したお金を返せ。」とは言われないので。
この辺は日本政策金融公庫に見られると怒られるんですけど。(笑)
実際は「500万円くらい融資してもらえる。」っていうのが結論です。
500万円も融資してもらえるんですね。
大学を卒業して何の経験もないのに「500万円融資してください。」っていうのは無理ですよ。
でも、ある程度の勤務経験があって実績があれば、500万円くらいの融資を受けることはできます。
「実績」っていうのは、過去の年末調整とかを2年分くらい見られます。
それで「これだけ稼いでますね。」っていう感じで見られます。
その人がある程度お給料を稼いでいたら、その人はその対価分の仕事ができる人なわけですよね。
「それなら起業しても、ある程度は大丈夫だよね。」っていう感じです。
創業時だったら、だいたい300万円は誰でも融資を受けられます。
例えば「クレジットカードを返済し忘れて、無視し続けた。」とか「家賃を滞納し続けている。」とか「水道光熱費を常に期日通りに払えていない。」とかは融資してもらえませんけどね。
普通にお金を借りるのと一緒の感覚です。
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日本政策金融公庫で融資を受けるには
田原さんはどこで融資を受けたんですか?
日本政策金融公庫です。
『29歳以下で起業していて、開業1年以内だと利息が「0.9%」になる。』っていう制度があったんですけど、そこで800万円を「利息0.9%」で融資を受けました。
「利息0.9%」なんてほとんどないに等しいので、800万円の0.9%だと利息は月に6000円ぐらいですかね。しかも、どんどん下がっていくので。
例えば融資を受けていると、利益が10万円出たとして、返済が10万円だったらその利益は全部なくなっちゃうので、もちろん大変にはなります。
でも、融資を受けたお金を返しているだけですから。
税金は「収益から経費を引いた差額の利益に対して、いくら取られる。」みたいな話なので。
返済は経費にはならないですよね?
もちろんならないです。
でも、お金はなくなっていくので、多少大変ではありますけど、資金繰り的には悪くないです。
あくまで「融資を受ける」っていうことは借金なので、最初は頑張って働いて、ちょっとでも多く返す。
だから、最初から役員報酬を高くするのはリスクがあるので、1年目は我慢するなどして調整していきます。
僕、「認定支援機関」っていう団体があってそこに所属しているんですけど、日本政策金融公庫には『その「認定支援機関」を経由すると、利息が安くなる。』っていう制度があるんですよ。
「各専門家から経由して融資を受ける。」ってなると、「その事業主には専門家がついている。」って見なされるじゃないですか。
「無知な人間よりもいろいろお金の事に詳しい人が見ているっていうことは、会社が潰れるリスクも低いので、利息を低くしよう」みたいな制度なんですよね。
何度も一緒に面談をやっている人なので、僕の知っている担当のところに融資を申し込みに行くんですよ。担当者を選択できるので。
「認定支援機関」って、担当がついてくれるんですよ。
だから、その担当者のところに書類を出して、それを上に報告して、上がOKを出したら融資を受けられるみたいな流れなんですよね。
日本政策金融公庫から融資を受けるのはいつがいいんでしょうか?
融資を受けやすく、利息が低くなるので、起業してすぐ融資を受けた方がいいです。
融資をお手伝いするビジネスを僕もやっているので「ビジネスのため」って思われるかもしれないですけど、本当に創業時に融資を受けた方がいいと思います。
自分でも、もちろん融資を受けましたし。
あと、1回融資を受けると次の融資も受けやすいので。
「最初に起業した事業のほかに、もう1個のビジネスでも起業したい。」っていう場合、仮に「500万円」かかるとするじゃないですか。
この「500万円」さえ使えば、毎月の利益が増えると。
その時に、手持ち資金が「300万円」しかなかったら、そのビジネスを起業することができないじゃないですか。
でも、融資を受ければ起業できますよね。
そのビジネスが本当に儲かる自信があるんだったら、融資を受けてでもやった方がいいんですけど、その時が初めての借り入れだと、けっこう時間がかかったりするんです。
でも、2回目の融資だと、融資を受けるまでがすっごい早いんですよ。
もちろん「融資を受けていない企業」っていうのもあるんですけど、融資を受けている企業の方が多いじゃないですか。
銀行との付き合いって、大事ですよね。
じゃないと、銀行も儲からないですからね。
融資を受けた後のサポート事業
今後はどうしていく予定ですか?
今は「相続情報ラボ」「日本政策金融公庫ガイド」っていうサイトを運営しているんですけど、今後は自社サイトを増やして実績を作っていきたいですね。
SEOコンサルをしながら、融資を受ける仕事をどんどん増やしていって「起業支援」のようなチームを作って、起業する人が潰れないような団体にしていきたいなと思います。
会社を潰さないサポートができるような団体にしていきたいですね。
融資を受けた後のサポートもしていくんですか?
依頼があれば融資を受けた後のサポートもしていきたいと思っています。
「ぼったくろう。」とか「高い金額でやろう。」なんてまったく思わないので、起業した方に合った価格帯でやります。
手数料は「融資を受けた額の何%」みたいな感じなんですか?
今はそうしていますね。融資を受けた額の2%ぐらいです。
1000万円借りたら、20万円ぐらいですね。
業界平均は3%〜5%ぐらいなので、安い方だと思います。
でも、僕が融資のサポートをすれば利息が安くなるので、利息削減額より僕に払う手数料の方が少ないので、得だと思います。
30歳の時に融資の相談をしに行ったんです。けっこう綿密に計画を立てたんですけど、「これじゃ融資を受けられないね。」って言われて。
僕だったら融資を受けられましたね。
もちろん融資を受ける時は事業計画を立てるんですけど、いっぱい融資のお手伝いをしてきたので、事業計画をすぐに作れるんですよ。
「売り上げをこれくらい出せば、従業員がこれくらい必要になって、従業員をここで増やす。固定費はこれくらいだね。利益が出ていれば、返済はこんな感じ。」っていう、3年分ぐらい一気に作れるので事業計画の立て方もサポートできます。
その計算式が頭の中に入っていれば、最悪売り上げと人件費さえ合わせれば、赤字になることはないので。
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